病気の治療には時間がかかります。罪も同じです。【聖書からよもやま話299】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  新約聖書、テトスへの手紙の3章です。よろしくどうぞ。

テトスへの手紙 3章2節

また、だれも中傷せず、争わず、柔和で、すべての人にあくまで礼儀正しい者となるようにしなさい。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

「私は中傷もしませんし、争いませんし、柔和で、すべての人にあくまで礼儀正しい者です」と、自信をもって言える人はどれほどいるでしょうか。僕自身はこの聖句を読むと「すみません、僕は時として中傷もしますし、争ってしまうこともありますし、とても柔和とは言えませんし、礼儀正しくもありません、すみません神様」と感じます。

この周囲の箇所を読めば、自分の力や努力ではなく「聖霊による再生と刷新の洗いをもって」このような者に変えられるのだと書いてあります。それならば、そのような者にまだ変えられていない自分は、もしかして実は神様に救われていないんじゃないか、なんて思えてもきます。自分は神様に救われた者、つまりクリスチャンとして失格なのではないかと。

しかし、少なくとも僕は、またこの聖句を読む多くの人は「自分は中傷もするし、争うし、柔和じゃないし、礼儀正しくもない」ということに気付かされるわけです。この「気付き」自体が「聖霊による再生と刷新」の一環であり、その一つのステップなのだとも思えます。
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病気は治療を開始して必ずしもすぐに治るわけではありません。インフルエンザの特効薬タミフルを飲んでも、その場ですぐに治るわけではなく、完全に治るまでは一週間ほどの時間がかかります。骨折の治療だったらもっと時間がかかります。人の罪もまた、同じことなのかと思います。神様の救いを受け入れることは、医師の治療を受け入れることに似ています。自分が病人であることを認めないことには治療は始まりませんし、自分が罪人であることを認めなければ救いは始まりません。体の治療にまず必要なことは自分が病人であることを認めて病院にいくことですし、罪の救いに必要なことはまず自分が罪人であることを認めて教会にいくことです。

病気なら、治療を開始してから「まだ具合悪いけど、昨日より今日の方が少し良くなった」という状態を続ければそれは順調な回復と言えます。救いもまた、信仰を持ってから「まだ罪人だけど、昨日より今日の方が少し良くなった」という状態を続けることが大切です。時として病気も罪も、一時的に「今日は昨日より調子悪い」ということもあるかもしれません、それでも長いスパンでみて「良くなってきてるな」と思えるなら、それは順調なのかと思います。

一番危ないのは「治療を始めたのだから僕はもう病人ではない!」とまだ体調が回復していないのに無理をしてしまうことですし、「洗礼を受けたのだから僕はもう罪人ではない!」とまだ罪がある状態なのに、罪がないかのように自己認識をしてしまうことです。「私は中傷もしませんし、争いませんし、柔和で、すべての人にあくまで礼儀正しい者です」と自信をもって言えてしまう人の方が、実は危険な状態にありますし、事態は深刻なんです。

治療を続けていればいずれ病気は治ります。祈りを続けていればいずれ罪から解放されます。その日を心待ちにしたいと思います。やがてその日が来ることは約束されているのですから。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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