地味な人こそが、世界をつくる【聖書からよもやま話295】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  旧約聖書、歴代誌第一の1章です。よろしくどうぞ。

歴代誌第一 1章1節

アダム、セツ、エノシュ、
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

歴代誌の前半はこの1章だけに限らず、もう何章にもわたってひたすら人名が羅列されているだけという、恐ろしく退屈なパートです。こんなことを言ったら「聖書に退屈なパートなんてない!」と怒られてしまうかもしれませんが、とはいえしかし、正直なところそれほど真面目な性格ではない僕は、どうしても「退屈だ・・・斜め読み!」という心が湧き上がるのを抑えることができません。

他の章にはまだときどきは「この人はこんなことをしたよ」ということがちょっぴり書いてあったりもするのですが、この第1章にはそれもまったくありません。ひたすら人名の羅列なんです。このコラムを書くにあたっても「どうするんだよこれ・・・なんの話題も思いつかないよ・・・」と頭を抱えました。

しかし、聖書に出てくるこういう人名の羅列というのは、もちろんちゃんと意味のあるものです。それはいわば「前回までのあらすじ」を示すものであり、また「これから登場する人たちは神様に選ばれた先祖をもち、脈々と続く救いの系譜の中にある人なんだぞ。だからこれから書くことは、これを読む人みんなに関係のあることなんだぞ」ということを示すものでもあるんです。

さて、その一番最初に、「アダム、セツ、エノシュ」と書いてあります。これは「最初の人類アダムの子がセツで、セツの子がエノシュだよ」ということが示されているのですが、聖書を少し知っている方はちょっと疑問に思いませんか?「あれ?アダムの子って、カインとアベルじゃなかったっけ?」と。

確かに、アダムの長男はカインで、次男はアベルです。当時の社会は原則として「長男絶対主義」ですから、普通に考えればアダムの後継者はカインだということになります。しかし、カインとアベルは「世界初の兄弟喧嘩」でありかつ「世界初の殺人事件」であるような事件を起こし、カインは「世界初の殺人犯」として故郷を追い出され、その被害者のアベルは死んでしまいましたから、この時点でアダムの後継者はいなくなってしまいました。そこで三男として生まれたセツが、アダムの後継者になったわけです。
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このセツという人、聖書にこうして時々名前だけは出てくるのですが、どんな人だったか、何をしたかについてはまったく記述がありません。派手な事件を起こして有名になった兄たちと違って、あまりに地味です。しかし、この人がノアの先祖であり、アブラハムの先祖であり、イエス様の先祖です。この人がいなければ、イエス様も、アブラハムも、ノアもいない、即ち現代の人類の共通の祖先がいなくなってしまうんです。それほど大切な人なのに、地味なんです。

でも、これが大切なんだなと思います。派手な事件をやらかした兄たちと違い、セツは大きな事件や功績は残しませんでしたが、地味ながらもきちんと次世代にバトンを渡しています。聖書に記されているあらゆる奇跡や救いはこのバトンによって起こっています。カインやアベルの派手な行動から奇跡が起こったのではなく、セツの地味な人生からあらゆる奇跡が起こったんです。

今、僕の仕事場の隣で新しいビルの建築工事が始まりました。今は土台を作っているので非常に地味な作業です。現場を眺めてみても、何をしているのかもよくわかりません。しかしこの土台の上にこそ、つまりその地味な作業の上にこそ、立派なビルが立つんです。セツはまさにこれから始まる聖書ストーリーの土台と言える人です。土台は装飾されることもなく、塗装もされることもなく、建物が建ってしまえば誰にも見られることがありません。しかし建物のあるところ、必ずそこに土台があり、それがなければ何も建てられはしないんです。

人生、派手な人もいますが地味な人もいます。派手な人生が地味な人生より優れているわけではありません。むしろ地味な人生こそが、その後に起こる奇跡のために不可欠なものなんだと思います。派手なカインは奇跡に関われず、地味なセツの上にこそ奇跡が起こったんです。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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