第39回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞した映画史に残る傑作『ミッション』が40年の時を超えて、4Kデジタルリマスター版としてスクリーンによみがえる。公開は10月16日(金)にTOHOシネマズ 日比谷ほか。
1987年に公開された「ミッション」(原題: The Mission)は、18世紀の南米を舞台に、先住民グアラニー族への宣教と共同体の建設に挑むイエズス会宣教師たちの姿をとおして、人間の尊厳と赦(ゆる)し、そして希望を描き出す歴史ドラマ。
監督は1970年代に起きたクメール・ルージュによるカンボジアでの大量虐殺を題材にした『キリング・フィールド』でアカデミー賞を席巻したローランド・ジョフィ。名コンビのイギリスの映画プロデューサー、デヴィッド・パットナムと共に植民地支配下の南米に目を向け、ロバート・デ・ニーロとジェレミー・アイアンズを主演に据え、対照的な二人の選択をとおして、運命に翻弄されつつもそれぞれの信念を貫く姿を壮大なスケールで描く。
十字架に縛りつけられた男性が先住民らの手によって川に投げ捨てられ、大瀑布のイグナスの滝に落ちていく衝撃的なシーンで幕を開ける同作品が終始一貫して問いかけるのは「神は沈黙しているのか」ーー

© 1986 Kingsmere Productions Limited. All rights reserved.
18世紀、南米。スペインとポルトガルによる植民地支配が続く中、イエズス会の宣教師ガブリエル神父(アイアンズ)は、音楽をとおして先住民グアラニー族と心を通わせ、共に平和な共同体を築いていた。一方、傭兵にして奴隷商人ロドリゴ・メンドーサ(デ・ニーロ)は弟を殺した罪に苛(さいな)まれていたが、そんな彼を救ったのは、これまで自分が傷つけてきたグアラニー族の人たちからの赦(ゆる)しだった。泥にまみれたメンドーサの顔にそっと手で触れるグアラニー族の少年。この映画で最も美しいシーンだ。
宣教師として新たな人生を歩み始めたメンドーサとガブリエル神父らは、グアラニー族の人たちとの平和なコミュニティを築いていくが、欧州列強国の植民地政策の変化によって宣教地は存続の危機に直面する。様々な利害関係が交錯する中、自らの行いが植民地支配の一端を担っていたことに気付いていくガブリエル神父。苦悩しつつも、キリストの愛を貫き通そうとする姿に胸が締め付けらる。

© 1986 Kingsmere Productions Limited. All rights reserved.
ポルトガル政府から大量の政府軍が送り込まれ、ついに武力による排除が始まる。グアラニー族を守るために武器を取るメンドーサと、祈りを貫くガブリエル神父。信仰か、抵抗か。二人の選択に神をどう応えるのか。
壮絶な戦闘が終わり何もかも失われたあと、わずかに生き残ったグアラニー族の子どもたちが、光の中を再びカヌーを漕(こ)ぎ出して行く。そして引用される聖書の一節は「光は闇の中で輝いている。闇は光に勝たなかった」(ヨハネによる福音書1章5節)だ。決して希望を失望に終わらせない神の愛に、神の沈黙の答えを見出すことができるのではないだろうか。

© 1986 Kingsmere Productions Limited. All rights reserved.
同作でもう一つ見逃せないのは、『ニューシネマ・パラダイス』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』など数々の名作を手掛けた巨匠エンニオ・モリコーネの音楽だ。荘厳な旋律によって彩られた同作の音楽は、映画史上屈指の名スコアとして今なお高く評価されている。また、イグアス滝のシーンなどはまさに圧巻で、是非とも映画館の大画面で見ることをお勧めしたい。
1986年製作/126分/G/イギリス・フランス合作
原題または英題:The Mission 配給:アークエンタテインメント
劇場公開日:2026年10月16日
その他の公開日:1987年4月18日(日本初公開)

