常盤貴子主演 映画「われ弱ければ 矢島楫子伝」完成試写会開催

三浦綾子の同名小説を映画化した「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」の完成試写会が14日、なかのZERO大ホール(東京都中野区)で行われた。主演の常盤貴子さんをはじめ、石黒賢さん、渡辺大さんら多数の共演者、山田火砂子監督が舞台挨拶に登壇した。

映画「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」の出演者と山田火砂子監督=14日、なかのZERO(東京都中野区)で

矢嶋楫子(やじま かじこ、1833~1925)は、現在の熊本県の益城町に生まれ、25歳で武士と結婚したが、夫の酒乱や暴力で離婚。日本で初めて女性から離縁を申し出たとされる。その後、上京し、教師となり、女子学院初代校長を長い間務めた。また、禁酒を提唱する日本キリスト教婦人矯風会を組織し、一夫一婦制の建白や、公娼制度の撤廃運動など女性の権利問題に取り組んだ。

同作は、明治・大正という女性が一人の人間として尊重されなかった時代に、女性解放運動に生涯を捧げた矢嶋楫子の姿が描かれている。メガホンをとったのは、国内の女性監督で現役最高齢(89歳)の山田火砂子さん。前作「一粒の麦 荻野吟子の生涯」を撮ることで矢嶋揖子を知り、女性が差別されていた時代に抗(あらが)う姿に感銘を受けたという。さらに、昨年2月、東京五輪・パラリンピックでの女性蔑視の発言に「男尊女卑は現代でもはびこっている」と感じ、これをきっかけに、矢嶋揖子を題材とした映画に踏み出すことになった。

石黒賢さん、常盤貴子さん、渡辺大さん

主演は、テレビドラマ「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」などで知られる常盤貴子さん。山田監督が2007年に撮った「筆子・その愛 ー天使のピアノー」(2007年)でも主演を務めている。今回の作品について次のようにコメントした。

この映画の依頼をいただいた時、女性蔑視に対する日本でのあの発言に対する監督の怒りをひしひしと感じました。その思いに私も乗りたいとお受けしました。撮影中、明治・大正の時代、一人の人間として揖子が訴えきたことを私たちはちゃんと受け止めているだろうかとずっと考えていました。「使命とは命を使うことです」と言う揖子の勇気と、御年89歳の監督が魂を削って伝えたかったことを映画に乗せることができていたらいいなと思っています。

23日で90歳を迎える山田監督は、40歳で小学校の先生となり、90歳になろうとしているときにアメリカに渡るなど、老いてなお果敢な人生を送った矢嶋楫子の生き方を称えた。そして、自身もまだまだ頑張って、映画を撮り続けたいと意欲を示した。

映画は、2月12日から順次、東京・新宿区の「K’s cinema」など全国で上映される。

監督・脚本 山田火砂子
原作:三浦綾子「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」
出演:常盤貴子、石黒賢、渡辺いっけい、キャロリン愛子ホーランド、渡辺大、竹下景子、藤吉久美子、キコ・ウィルソン、ジョニ・トマス、堀内正美、渡辺梓、森岡龍、小倉一郎、赤塚真人、森三中、駒井蓮
オフィシャルサイト

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