教会の不正は告発すべき? 塩谷直也 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

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Q.教会内の不正を告発すべきか悩んでいます。神さまはすべてご存じなので、あえて世間にさらけ出す必要もないかと思うのですが。(30代・男性)

キリストの体である教会内部で不正が存在する、ということですね。パスカルが言っています。「真実を言うことは、それを言われる側には有益であるが、それを言う者には不利である。彼は嫌われることになるからである」

結論から申し上げます。嫌われる覚悟がおありなら、人々があなたから黙って離れていく事態も受容できるなら、告発しましょう。教会は利益を得るでしょう。そしてあなたはひとりぼっちになるでしょう。しかし、本当の友人とそうでない人々の見分けがつく眼差しも与えられるはずです。教会は今まで問題を先送りしていた怠慢を捨て去るきっかけを与えられるでしょう。一方、あなたは教会を離れざるを得なくなるかもしれません。同時に薄ら笑いを浮かべつつ暗い密室にこもって妥協の生活を続けるより、真実を語ってすがすがしく青空のもとを歩く方が数倍心地よいことも知るはずです。

なお「神がご存知なのであえて世間にさらけ出す必要はない」との言葉の背後には、しばしば信仰という美名に隠された私たちの罪があることを見逃してはいけません。それは当事者同士で罪の指摘と葛藤、緊張と戦いを経ても、それでも不正が正されない状況で初めて、問題提起者自身が痛みつつ絞り出す言葉です。何ら行動を起こさない人間が、己の保身、弁明のために用いる軽々しい言葉ではありません。

いずれにしても、もしも告発を決断されたのなら、勇気あるあなたのこと、当然実名で告発されるのでしょう。「教会を憂える迷える子羊」やら「キリストのみに従う小さき僕」など、み名とみ言葉をもてあそぶようなネームを用い、正体をひた隠し怪文書を配る珍妙な集団とは距離を置かれているあなたでしょうから。そうであることを信じ、私も実名で正面からお答えしております。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

しおたに・なおや 青山学院大学宗教部長、法学部教授。国際基督教大学教養学部卒業、東京神学大学大学院修士課程修了。大学で教鞭をとる傍ら、社会的な活動として、満期釈放を迎える受刑者への社会生活を送るための教育指導をはじめ、府中刑務所の教誨師として月1度ほど、受刑者への面談や講話を行う経験を持つ。著書に『忘れ物のぬくもり――聖書に学ぶ日々』(女子パウロ会)、青山学院大学の人気授業「キリスト教概論・Q&A」が書籍化された『なんか気分が晴れる言葉をください――聖書が教えてくれる50の生きる知恵』(保育社)など多数。

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