【インタビュー】日本CBMC理事長・青木仁志さん 人間力ある牧師やリーダーを育てることが日本宣教の秘訣(後編)

前編を読む)

──マネジメントのプロの集まりである日本CBMCは、日本のキリスト教団体にどのように用いられるべきだとお考えですか。

「まずは教会を強めていきたい」というのが、私を含めた日本CBMCの思いです。教会に属しているビジネスマンが成功すれば、当然、献金が集まり、その教会は経済的に祝福されることになります。そのためには、経営者の能力を開発することがいちばん確かな方法です。経営者は、仕組みを作る責任を担っていて、その責任が間違っていたら、経済的な祝福は得られません。その意味からすれば、教会を担う牧師もマネジメントを学ばなければいけないと思います。

青木仁志さん

──良い経営者の能力とは何でしょうか。

「人間力」です。実際、人間力のある牧師がいる教会は発展しています。東京基督教大学(TCU)理事長の廣瀬薫(ひろせ・かおる)先生ともよく話すのは、「牧師になる前に3年間くらい、ビジネス界の荒波に揉(も)まれて、人に伝える力、人間力を高めていく必要があるのではないか」ということです。これは伝道者だけでなく、学校の先生にも言えることですが。

──牧師になる前に社会経験を積むといったインターンのような計画はありますか。

思いはあります。そのためには、日本のクリスチャン経営者が「若い人を育てよう」という意識をいかに持ってくれるかが大切です。いま考えているのは、牧師も含めたリーダーシップ・トレーニング・センターの開設です。政治家であろうと、ビジネスマンであろうと、指導者を育てなければいけないと思っていて、能力の開発というより、人間のあり方を学ぶ。本当に羊のために命を捨てられるという人間力、それが大事だと思います。

──日本の福音伝道が祝福されるために何が必要でしょう。

やはりリーダーを育てることだと思います。リーダーを輩出していくことが、今の日本にいちばん求められていること。そこには将来、投資をしていこうと思っています。リーダーシップ・トレーニング・センターもその一つで、私がビジネスを退く時が来たら、自分の財産を神様の栄光のために献げていきたいと思っています。

ただ、依存と甘えを育てるようなお金の使い方をしてはいけません。奨学金や里親支援など、恵まれない家庭環境の人を支えるのは尊いことですが、やはり働くことの価値を教えていかなければ駄目だと思います。

──魅力的なリーダーを育てるために必要なことは何でしょうか。

人間としての度量というか、「人間偏差値」を高めることでしょうか。それは、思いやり、誠実さ、人に尽くす心、そして、それらを具体的に示す実行力です。どんなにすごい学歴を持った牧師だとしても、教会に人が集まるとは限りません。人は人間力のある魅力的な人のもとに集まるのです。

──最後に、日本CBMCの今後のビジョンを教えてください。

次の理事長を誰に任命するかで、日本CBMCの未来は変わってくると思っています。そういう意味では、リーダーをしっかりと選ばないといけない。世界的に見れば日本CBMCは小規模なほうですから、今後、300人、500人とメンバーを増やし、より強固なビジネスマンの組織化を図っていきたいと思います。

また、教会のビジネスマンが、日本CBMCに入ることによって弟子として訓練され、そこで与えられた賜物を教会に還元するなら、教会は大きく発展していきます。そのために、クリスチャン・ビジネスマンの能力の高い人から無償でトレーニングを受けられる支部を作りたいと思っています。全国47都道府県すべてに設置することを、神様に祈りながら目指しているところです。(前編へ)

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