日本YWCA 武器輸出の解禁に抗議「民主主義の仮面をかぶった独裁国家」

日本・イギリス・イタリアの3カ国が共同開発する次期戦闘機の、第三国への輸出を解禁した閣議決定を受けて日本YWCA(藤谷佐斗子会長)は4月3日、「武器輸出に反対し、外交努力による平和構築を求めます」と題する声明を発表した。

声明は1967年、「海外の戦闘で日本の武器が使われた場合、それは武力行使と一体化し、国際紛争を助長し、憲法9条に抵触することになる」ことを理由に定められた「武器輸出三原則」の意義を強調。

2014年に「防衛装備移転三原則」と名称が変わり、2022年に防衛費をGDP比2%に倍増させることを閣議決定、2023年末には殺傷能力をもつ武器の輸出を可能とし、次期戦闘機が輸出リストに加えられた経緯を踏まえ、「憲法の理念にもかかわる大きな転換は、国会で徹底的に議論されなければな」らないにもかかわらず、国会では議論がなされておらず、これでは「民主主義の仮面をかぶった独裁国家」だと批判。

「二つの大きな戦争のさなかに」ある今だからこそ、「外交努力による平和の構築が必要」「国際情勢の変化にどのように対応するのか、平和国家としてのあり方が問われています」「日本国憲法を生かし平和と民主主義を守る立場から、国会審議という民主的プロセスの尊重と、武力による安全ではなく外交努力によって平和を構築することを強く求めます」と訴えた。

声明の全文は以下の通り。


武器輸出に反対し、外交努力による平和構築を求めます

内閣総理大臣 岸田文雄 様
衆議院議長 額賀福志郎 様
参議院議長 尾辻秀久 様

日本国憲法は、第二次世界大戦の反省に立ち、その前文において「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」しました。1967年には佐藤栄作首相が「武器輸出三原則」を表明し、1976年には三木武夫首相が実質的に全面禁輸としました。なぜなら、海外の戦闘で日本の武器が使われた場合、それは武力行使と一体化し、国際紛争を助長し、憲法9条に抵触することになるからです。

これまでの抑制的な姿勢の転換は、2014年に「防衛装備移転三原則」と名称を変えた安倍政権にさかのぼります。その後、2022年に岸田政権は国家安全保障会議および閣議にて、防衛費を2023年度からの5年間で、GDP比で2%に倍増させるとしました。2023年末には殺傷能力をもつ武器の輸出が可能になり、今回、次期戦闘機がその輸出リストに加えられました。

このような安全保障政策が、いとも簡単に閣議決定によってなされていきます。憲法の理念にもかかわる大きな転換は、国会で徹底的に議論されなければなりません。それにもかかわらず、国会では議論がなされておらず、国民の理解が得られていないどころか、理解する機会も説明もありません。これでは、日本は平和国家ではなく、民主主義の仮面をかぶった独裁国家です。わたしたちの生命や生活に直接かかわる安全保障政策については、閣議決定ではなく国会で徹底的に議論することを強く求めます。

日本YWCAは平和を求める団体として1905年に設立し、人権と環境を守ることを目的とし、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために世界の仲間と共に尽力しています。今、世界は二つの大きな戦争のさなかにあり、安全保障体制の強化を図る国が増えています。こんな時だからこそ、外交努力による平和の構築が必要だと考えます。国際情勢の変化にどのように対応するのか、平和国家としてのあり方が問われています。

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」と、憲法前文にあります。私たちは日本国憲法を生かし平和と民主主義を守る立場から、国会審議という民主的プロセスの尊重と、武力による安全ではなく外交努力によって平和を構築することを強く求めます。

日本YWCA会長 藤谷佐斗子
総幹事 山本知恵

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