アメリカの合同メソジスト教会の転機 同性愛と信仰の間での歩み 姜 善芽 【この世界の片隅から】

近年、アメリカの合同メソジスト教会は同性愛に関する異論から教団を離脱する教会が増え、さまざまな議論を生み出している。数十年にわたる、ますます激化する同性愛に関する紛争が、2019年の合同メソジスト教会の総会で、アメリカの地方教会がその所有物とともに教団を離脱できるようにする新しい方針を作成するきっかけとなった。それによって今年末に離脱できる期限が切れることになっているが、現在約3万500の教会のうち2023年6月末までに6155の教会がすでに離脱したと思われる。

UM News(合同メソジスト教会のニュース媒体)の分析によると、離脱したほとんどの教会がアメリカ南部と南西部の男性牧師が率いる白人の教会であったという。総監督会議の議長であるトーマスJ・ビカトン監督は、「むしろ今の状況は危機であるより教団全体を新しくする重要な起点になるであろう」と述べているが、教会のロケーションにより、その反応はさまざまである。例えば大都市にある教会は余り影響を受けていない反面、地方都市になると多くの教会が困難を経験した。

特に韓国人系の合同メソジスト教会のうち、離脱が予想される教会は全280のうち40以上の教会と言われており、大規模な韓国人教会の半分はすでに離脱し、昨年の5月に「グローバル・メソジスト教団」という新しいグループを発足させている。今年10月に行われた「韓国人メソジスト牧師総会」(The 2023 special session of the National Association of the Korean American United Methodists)には約220名の韓国人や韓国系アメリカ人牧師たちが集まり、そこでは少なからずの教会が離脱を試みたり、あるいは離脱を誘われたがさまざまな事情により諦めたりしたことが率直に語り合われた。

100年もの昔にアメリカへ移住し、過酷な環境に耐えながらアメリカに定住していく過程で合同メソジスト教会において信仰を育み、コミュニティを築いてきた韓国人たちにとって、神学的相違により離縁し、敵対するのを目にするのは非常に辛いものである。しかし同総会において牧師たちは、お互いの歩みをありのまま見守り、自分の置かれた場でできることを懸命に成し遂げることによって、神のみ業がいろいろな形で継続されていくだろうと語り合った。

アメリカの合同メソジスト教会に属する「韓国人メソジスト牧師総会」

合同メソジスト教会の同性愛に対する立場は幅広いものである。ウェスレーの神学に基づき、合同メソジスト教会は多様な聖書解釈を認め、コンテキストによる牧会の自由さを誇りにしてきた。つまり、聖書は伝統、経験、理性に基づいて様々な方法で解釈できるので、同性愛に関するさまざまな解釈を認めつつも、聖書は文字通り用いて人を裁き、非難するために用いられるより、キリストが示した偏見のない愛を学び、従うために与えられたことを強調している。そのため現在教団に残っている教会は、それぞれどのようにしてキリストの戒めに従って神を愛し、隣人を愛することができるか、その答えを懸命に探しつつ牧会に挑んでいる。

本稿を執筆している今日は、アメリカではハロウィンとして盛大に祝う日である。元々ケルト族が収穫の終わりを祝い、亡くなった祖先の霊を迎え入れる祭りとして始まったハロウィンだが、今やその宗教的な意味は薄れ、地域の祝日として楽しいイベントや仮装を楽しむ文化的な祝祭として捉えられている。大胆な仮装で自分を自由に表現する日という意味も加えられ、LGBTQ+コミュニティの場合、ハロウィンを自己表現とアイデンティティの祝いの機会として用いている。彼女ら/彼らが勇気を振り絞って既存の社会規範に挑戦し、発信しているメッセージを聞きながら、私は自分に問いかけてみた。「キリストの限りない愛を受けたものとして、私たちのスタンスはどうあるべきだろうか」「変化しつつある社会の中で私たちの福音は本当に人を生かし、希望を与えているのだろうか」と。

近年のメソジスト教会はこのような問いかけに対し、明確な答えを求められている。


カン・ソナ 東京神学大学神学部卒業、韓国メソジスト神学校と米国の南メソジスト大学にて修士号、米国のガレット神学校にて旧約神学専攻で博士号取得。北イリノイ州の合同メソジスト教会で按手を受け、担任牧師として赴任し現在に至る。
北イリノイ州合同メソジスト教会の按手礼式

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