【訃報】 前ローマ教皇ベネディクト16世が逝去  95歳

ローマ教皇庁(バチカン)は、前ローマ教皇ベネディクト16世が12月31日朝(日本時間同日夕)、バチカン市国のマーテル・エクレジエ修道院で逝去したことを発表した。95歳だった。死因は明らかにされていない。

ベネディクト16世、本名、ヨーゼフ・ラッツィンガー氏は1927年、ドイツ南部バイエルン州で生まれた。ミュンヘンの大司教などを経てローマ教皇庁の要職を務めたあと、ヨハネ・パウロ2世の死去に伴い2005年4月に78歳で史上最年長でローマ教皇に就任した。

前任のヨハネ・パウロ2世の後を引き継ぎ、イスラム諸国や11世紀に分裂した東方正教会との関係改善を進めた。2010年には英国を訪問し、英国国教会のエリザベス女王と会談し、両教会の和解につなげた。また、ツイッターでの情報発信をはじめるなど「開かれたバチカン」をアピールした。

その一方で、カトリック教会の中でも避妊や人工妊娠中絶などに強く反対する保守派として知られ、その姿勢には各国から批判が強まった。また在任中には、聖職者による性的虐待の問題やローマ教皇庁の不透明な財務状況などスキャンダルが相次いだ。

就任からおよそ8年後の2013年に高齢による体力の低下を理由に「生前退位」を表明。1294年に退位したケレスティヌス5世以来719年ぶりとなる出来事だった。

退位後は、「名誉教皇」という称号を受け、バチカン市内のマーテル・エクレジエ修道院で余生を過ごしていたが、このところ体調不良が続いていた。フランシスコ教皇は28日、年末の祈りの際に弱っている前教皇のために祈ってほしいと呼びかけていた。

信徒からの弔問を受けるため、遺体は1月2日からサンピエトロ大聖堂に安置されるという。

関連記事

None found

この記事もおすすめ