4年ぶりの開催「第3回全国信徒大会」 伝道とは主イエスを差し示す「指」となること

プロテスタント日本伝道164年目を記念し、日本基督教団全国信徒会(望月克仁会長)は10月28日、「第3回全国信徒大会」を日本基督教団富士見町教会(東京都千代田区)を会場に開催した。前回から4年ぶりの開催となった大会のテーマは「全世代に向けた『伝道』」。全国から81人が集まり、コロナ禍で傷ついた人々と日本に、キリストの福音を宣べ伝えていく恵を分かち合った。

第1部の開会礼拝では、日本基督教団総会議長の雲然俊美氏(秋田桜教会牧師)が「主が来られるのを待ち望みつつ」と題して説教を行った。その中で、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの衝突などにも触れ、次のように語った。

今の世界の情勢を見るならば、「人事を尽くして天命を待つ」ということは破綻しています。人間の努力や能力によっては平和は成し得ないからです。けれども、幸いなことに私たちキリスト者は、人事を尽くして天命を待つのではありません。神の御心を確信して、人事を尽くすということです。だから私たちは祈り、平和のために力を合わせる。神の御心を知って人事を尽くす、それが私たちの信仰です。

雲然俊美氏。

さらに説教テーマの文言にも言及。日本基督教団の信仰告白にも「愛のわざに励みつつ、主が再び来たりたまふを待ち望む」とあるが、それとは逆のことも言えると話す。主が来ることは決定事項であり、それは誰にも変えることができない。だから、そのことを信じて私たちは愛のわざに励むのだと述べ、こう呼びかけた。

私たちは共に集いました。大いに神様の御心を聞きましょう。そして、聖霊に満たされれて、ここに集った者の責任として、ここから共にそれぞれの地へと遣わされてまいりましょう。主の恵み、主によるところの希望を携えて。

第2部では、上田光正氏(伊東教会協力牧師)が「日本の伝道を考える」と題して講演を行った。上田氏は、教文館より5巻にわたるシリーズで『日本の伝道を考える』を出版しており、今回の大会のテーマに大きな影響を与えた。講演では、カール・バルトの神学を用いながら、日本にキリスト教が根付かない根本理由を探り、教会の危機といわれる今日、信徒に何ができるのかを参加者と共に考えた。

上田光正氏。

プロテスタント伝道が日本で始まってから164年経ったにもかかわらず、未だにクリスチャン人口が1%以下である日本。上田氏は「一人ひとりのクリスチャンが自分が救われているという確信や喜びがはっきりしていないので、イエス様の御心通りに生きていないように見えるではないか」と指摘する。救われた確信や喜びのある信仰を持つためには、神の「恵みの選び」によって愛され、救われているという確信を持ち、使命に生きるのだという。そして、私たちにもたらされた「神への愛」から「隣人への愛」が生まれることを説明した。

神が私たちのことを気付いてくださったように、私たちも助けを必要としている隣人に気付くとき、イエス様は、「あなたも行って同じようにしなさい」(ルカによる福音書10章38節)と私たちを遣わされると述べ、「遣わされることは、神さまの愛を指し示す『指』となることです」と力を込めた。そして、「自分たちが従事する社会の場、生活の場においても証しする『指』となってほしい」と話し、「『指』となることの目標は、隣人を教会に連れていき、十字架と復活のイエス様に出会ってもらうことで、これが伝道です」と語った。さらに日々聖書を読むことの大切さも伝え、こう結んだ。

バルトは、終わりの日の希望をもって生きるキリスト者を「勝利の信仰」と呼んでいます。日本のキリスト者である私どもにも与えられていることです。そうであるように、自分のためにイエス様が十字架による身代わりの死を遂げるほど、愛しておられることを信じたい。あのマグナ・カルタの精神で生きたい。父なる神は、「すべての人が、父を敬うように、子を敬うようになる」という歴史を完成させてくださるのですから。

同大会を主催する日本基督教団全国信徒会は、1970年以来、実態を失っていたが、2014年に再結成された。「主にある一致」「賜物の分け合い」「会員相互の交わり」を通して、日本基督教団の福音伝道推進に寄与することを目的に掲げ、これまで15年と19年に大会を開催してきた。日本基督教団信仰告白を告白している同教団所属教会の信徒であれば、会員の紹介により、理事会の承認を経て入会することができる。詳細はホームページで。

 






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