女性初の日本聖公会主教、笹森田鶴司祭の主教按手式・北海道教区主教就任式を開催

日本聖公会北海道教区にて23日、マリア・グレイス笹森田鶴(ささもり・たづ)司祭の主教按手式および教区主教就任式が日本聖公会北海道教区主教座聖堂札幌キリスト教会(札幌市北区)にて開催された。日本と東アジアで女性が主教となるのは初めて。式典はリアルタイムで世界に同時配信された。

マリア・グレイス笹森田鶴主教(写真:日本聖公会北海道教区提供)

笹森司祭は、1963年福島県生まれ。東北学院大学文学部キリスト教学科卒業、東京神学大学大学院神学研究科組織神学博士課程前期課程修了。99年1月同教区にて、中部教区の渋川良子司祭に次いで女性として2番目となる司祭按手を受けた。その後、東京教区事務所勤務をはじめ、東京教区内11教会の牧師・管理牧師を歴任。2021年11月3日、植松誠主教の定年退職に伴い行われた教区主教選挙で、北海道教区主教に選出された。同月26日に主教被選者となり、22年4月より北海道教区へ移籍した。

式典は、日本聖公会首座主教・九州教区主教のルカ武藤謙一司祭が司式した。聖書のイザヤ書(42章)、詩篇(100編)、コリントの使徒への手紙二(4章)が読まれた後、前日本聖公会九州教区のガブリエル五十嵐正司主教が説教を行った。

笹森司祭と35年にわたる交流がある五十嵐主教は、親しみを込めて「田鶴さん」と呼びかけ、笹森司祭のこれまでの働きに敬意を示すと同時に、男性優位の日本社会において、女性の司祭として働くことの困難さを思い遣った。また、日本および東アジアで初めての女性の主教に選出された重圧を、受胎告知の知らせを受けたマリアの悩み苦しみに重ね、ルカによる福音書4章3節も引用し、次のように励ました。

「マリアを慰めたエリサベツがいたように、田鶴さんにも、北海道教区の人たち、日本聖公会の人たち、世界の人たちが、エリサベツとなっている。ありのままの自分で、これまでの心を込めた田鶴さんの牧会スタイルでこれからも務めてほしい。主の教会における主教の務めと働きのために、主の僕(しもべ)マリア・グレイスに聖霊を注いでください。聖霊を受けたならば、主教の務めと働きに歩み出してください。」

新主教の笹森司祭に手を置く主教たち。(写真:日本聖公会北海道教区提供)

按手終了後、笹森新主教による初めての聖餐式が臨席の主教たちと共に行われた。式典の最後には、笹森主教が挨拶に立ち、全ての関係者に感謝の言葉を述べ、北海道教区に向けて、自身をささげるために、新しい家族になるためにこの地に来たことを伝えた。

挨拶の中で、今後の同教区の重要課題として、福音宣教の活性化を目指すために、東北教区、北関東教区、東京教区との教区再編・協働を挙げ、次のような思いを述べた。

「今だけが新しくなる時なのではなく、私たちはこれからもずっと主によって日々新たにされていきます。互いの不安さを共有することからはじめ、主のみが私たちの道のりを示されるお方である事を信頼し、恐る恐る手探りの中で出会い、共に御言葉を聞き、思い巡(めぐ)らし、祈り合い、サクラメントに養われ、主に忠実な神の家族でありたいと願っております。」

また、日本聖公会にとって初めて女性が主教按手を受けるという歴史的な出来事は、日本聖公会が多様な背景を持つ人々の信仰共同体であることを見える姿で示していると力を込めた。
しかし、その一方で、女性の司祭按手および主教按手について反対意見や、違う思いを持っている人たちがいる信仰共同体でもあることを明かした。そのうえで、最後にこのように語った。

「今は長いプロセスの途上であり、日本聖公会の多様性の中で、一致への模索の機会が改めて与えられていると受け止めています。分裂ではなく、対話による一致への招きに私たちは応えなければなりません。そして、主教職が共同体全体で担われるという点で、北海道教区はその最初のモデルとなります。そのことを誇りに感じ、大いに神に感謝しています。

歴史は誰か特別な人々によって形成されるのではなく、私たち一人一人の日々の積み重ねが織りなされて作られていくものです。その積み重ねが、神様の思いと重なるとき、私たちは神の歴史の担い手、語り手となります。私たちの生活の只中にある一つ一つの小さな出来事に光を当て、希望を見出し、福音の喜びを伝えるものとして神の歴史の時を共に歩んで参りましょう。」

聖餐式を司式する笹森新主教。(写真:日本聖公会北海道教区提供)

日本聖公会は、世界のアングリカン・コミュニオン(イギリス国教会を母体とした伝統的キリスト諸教会)に連なる日本のキリスト教会。立教大学や桃山学院、聖ルカ国際病院などは、聖公会の働きによって建てられた。北海道教区は日本聖公会を構成する11の教区のひとつで、2024年には成立150周年を迎える。また、日本聖公会では、1998年に司祭への志願要件から「男性」の条件を削除した。

 

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