今回の移転を、複数のフラー神学校関係者がソーシャル・メディアでたたえている。南ウェスレアン大学で教えている同校卒業生のマーク・ウィルソンは言う。「パサデナのダウンタウンにある美しいキャンパスがなくなるのはつらい。しかし、未来の繁栄のために今日痛みの伴う決断をするのはよいことだし、勇気あることだ」

プレスリリースによれば、「集中的な管理運営と、講義室とオンライン両方での教育を可能にする最先端の設備を新キャンパスは備えている」という。

昨年の「クリスチャニティ-・トゥデイ」の記事にもあるように、オンラインで学位が取得できる教育課程はもはや先進的なものではない。資金も時間も、所属教派による任命もなく、フルタイムでの通学ができない新世代の学生が神学校に通えるようにするために、オンライン課程は多くの神学校に標準的に設けられている。

米国・カナダ神学校連盟(ATS)によれば、ここ10年ほど、神学校への入学者数は総体的に減少し続けていたが、オンラインで学位取得が可能な神学校が全体の3分の2以上になったところ、最近になって入学者数は横ばいになった。

楽観的に見れば、オンラインでの履修機会を提供することにより、フラー神学校は、国外の学生も含めて、より広範囲のクリスチャン・リーダーを教育することができる。ラバートン学長は言う。「新しいテクノロジーを採用し、これまでとは異なるかたちでの献身を認めることにより、世界中のリーダーを教育することができます。距離はもはや障害ではなくなるのです」

フラー神学校では、フラー・フォーメーション・グループ(教会や産業界のリーダーが集い、霊的な人格形成を目指すグループ)が優れた成果を出した。このため、同校はこれを拡大し、オンラインで学位を取得できる課程を2つ増やした。これまで同校には、主としてオンラインだけで取得できる学位に、牧会学(MDiv)、神学・奉仕(MATM)、グローバル・リーダーシップ(MAGL)の3つの修士号があった。そこに、オンラインだけで修了できる神学(MAT)、国際文化学(MAICS)の修士課程も加わる。

しかし変化とは、困難でドラマチックなものだ。ラバートン学長は変革のための苦労について、「ここ数年、神学校教育をかき回してきた旋風」と書いている。

「旋風は混乱ももたらしますが、チャンスももたらします。私たちは日々、神が何のためにフラー神学校を召しておられるのかということに心を向けています。日々、困難なことばかりです。混乱と分裂しかない日もあります。こうした中、大切なことが何かを見極めていくのはとても難しいことでした」

「この変動の時代にあって、フラー神学校のような神学校の運営モデル全体が変化を迫られています。従来の教育方法を変え、新しいパラダイムを生み出さなければなりません。これまでと同じようにしていては、本校の学生に最も資することは何かを理解し、教育機関として成功し続けることはできません」

2018年5月23日、ケイト・シェルナット(インターネット投稿。外部コンテンツ)

グリーニングス(「落穂拾い」の意。クリスチャニティトゥデイ紙のキュレーションサービス。クリスチャンが知るべき情報としてウェブ上で収集した外部コンテンツ)

本記事は「クリスチャニティ-・トゥデイ」(米国)より翻訳、転載しました。
出典URL:
https://www.christianitytoday.com/news/2018/may/fuller-seminary-to-leave-pasadena-campus.html

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「クリスチャニティー・トゥデイ」(Christianity Today)は、1956年に伝道者ビリー・グラハムと編集長カール・ヘンリーにより創刊された、クリスチャンのための定期刊行物。96年、ウェブサイトが開設されて記事掲載が始められた。雑誌は今、500万以上のクリスチャン指導者に毎月届けられ、オンラインの購読者は1000万に上る。

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