バチカンでクリスマス・ツリー点灯式 パンデミックの世界に輝く希望のしるし

キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で11日午後5時、毎年恒例のクリスマス・ツリー点灯式が数人の公式代表者によって行われた。サンピエトロ大聖堂を背にして、巨大なツリーにイルミネーションが輝くと、広場の外にいる人々から感嘆の声が漏れた。

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例年は広場に数千人もの大観衆が集まるが、今年は新型コロナ・ウイルスの影響で大幅に人数が制限された。クリスマス・イブの24日夜に行われる教皇フランシスコのミサも、参加者を少人数にして、オンライン形式で行われる予定だ。

この点灯式には、ジュゼッペ・ベルテッロ枢機卿とフェルナンド・ベルジェス・アルザガ司教、そしてツリーとプレゼピオを贈った地域からの公式代表団が出席した。

教皇フランシスコは6日、正午の祈りの集いで、クリスマス・ツリーとプレゼピオの大切さに言及した。

「クリスマス・ツリーとプレゼピオは、贖(あがな)い主の誕生のミステリーを信じて生きるためのクリスマスのいい雰囲気をかもし出すのに役立ちます。キリスト降誕ではすべてが、福音の幸いな貧しさについて語っています。それは私たちを祝福します。聖家族とさまざまな登場人物を熟考することで、私たちは彼らの謙虚さに魅了されます。ここ数日、多くの家庭でも、子どもたちだけでなく皆の喜びであるこれらのクリスマスの象徴を準備していることでしょう。特にパンデミックによるこの試練の時、クリスマス・ツリーとプレゼピオは希望のしるしです。ただ、これらをしるしとするだけに留まらず、もっと深い意味へ、すなわちイエスへ、イエスが啓示された神の愛へ、世を照す神の無限の善良さへと進んでいきましょう。この光をかき消すことのできるいかなるパンデミックも危機もありません。この光を心に受け入れ、助けを必要とする人々に手を差し伸べることによって、私たちの間に再び神がお生まれになるでしょう」

クリスマス・ツリーとして使われるモミノキとプレゼピオは、毎年異なる地方から贈られている。今年のクリスマス・ツリーは高さ約30メートル、直径1メートル、重さ7トン、樹齢75年のドイツトウヒで、第二次世界大戦終了直後に植えられたもの。イタリアの東に隣接するスロベニア南部のコチェーヴィエ地方から取り寄せられた。コチェーヴィエ地方は森林が90%占めており、自然が最も損なわれていないスロベニアの地域の一つ。

隣のステージには、キリスト降臨の場面を再現した聖家族のセラミック像「プレゼピオ」も設置されている。これは、16世紀以来の陶磁器産業のさきがけでもある、イタリアのアブルッツォ地方の町カステッリから運ばれたもの。1965~75年の10年間にクリスマスをテーマに教育活動を行った現在のデザイン高校であるアート・インスティテュートの生徒と教師によって作成された作品だという。

ツリーとプレゼピオは来年1月10日、主の洗礼の主日まで設置される。サンピエトロ広場にクリスマス・ツリーを飾る習慣は1982年に当時の教皇、故ヨハネ・パウロ2世が始めた。

新型コロナ・ウイルスの感染拡大が続き、欧州各国で移動制限などの措置が取られる中、イタリアでも12月21日から1月6日にかけて州など地域間の移動が原則禁止され、12月25日のクリスマスとその翌日は市町村を越える移動もできなくなる。

今年の4月12日に祝われた復活祭(イースター)でも、初めて信者の列席しないサンピエトロ大聖堂でミサが行われることになった。そこで教皇フランシスコは、「希望は単なる楽観主義ではない。イエスが死を乗り越え、復活したことに希望がある」と述べたが、後日、「信者のいない、シーンとした広場から、表現のできない静けさと同時に、不気味さすら感じた」と述懐していた。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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