聖パウロ修道会が運営するキリスト教専門書店「サンパウロ東京本店」が11月4日、東京都新宿区四谷の複合施設「コモレ四谷」内に移転オープンした。開店に先立ち、カトリック東京大司教区のタルチシオ菊地功枢機卿が新店舗を祝別。キリスト教出版や書店を取り巻く環境が厳しさを増す中、長年にわたり出版宣教の拠点となってきた四谷の地で、実店舗の役割を継承する新たな一歩となった。
聖パウロ修道会の公式発表によると、同日午前10時半から行われた祝別式で、菊地枢機卿は新店舗の開業に祝意を表し、現代社会で福音を伝えるためには、人々との新たな出会いの場が必要だと強調した。インターネットや書籍、教会に関するさまざまな品々を通じて、多くの人々に福音を伝えることができると語った。
さらに、教皇ベネディクト16世の言葉を引用し、キリスト者になることは単なる思想や教えからではなく、キリストとの出会いから始まると説明。新店舗が「出会いを提供する場」となり、東京から全国に福音を発信する拠点となることに期待を寄せた。祝別式を終えた午前11時、新店舗は営業を開始した。
今回の移転は、従来の店舗が入居していたサンパウロビルの建て替えに伴うもの。10月17日に旧店舗の営業を終了し、約200メートル離れたコモレモール1階に移った。新店舗でも聖書やキリスト教関連書籍、一般書籍、CD・DVD、信心用品などを取り扱う。
聖パウロ修道会は1914年、イタリアでヤコボ・アルベリオーネ神父によって創立された。書籍や雑誌、放送などのメディアを用いた福音宣教を使命とし、34年に日本での活動を開始。39年に「誠光社」を設立して出版事業に乗り出し、43年には「中央出版社」に統合された。戦後も同名称で事業を継続し、95年に「サンパウロ」へと改称した。出版、流通、販売を一体的に担い、日本のカトリック出版文化を支えてきた。
一方、キリスト教出版・書店を取り巻く環境は大きく変化している。日本キリスト教団出版局は今年3月末に事業を大幅に整理・縮小し、4月から新会社アイ・パブリッシングが書籍出版などの事業を引き継いだ。また、名古屋のキリスト教専門書店「名古屋聖文舎」は、売り上げの減少や累積損失を理由に、2027年3月末での店舗閉店を決めている。
カトリック系でも拠点の再編が進む。聖パウロ修道会は今年4月、76年の歴史を持つ福岡修道院を閉院し、併設する福岡宣教センターの書店も閉店した。今後は教会や学校、修道院などを訪問する販売活動に重点を置く。また、別の修道会である聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)も、修道者の高齢化や召命の減少を背景に、各地の修道院と書院を相次いで閉鎖してきた。
こうした状況で、東京本店が四谷に実店舗を維持する意義は小さくない。オンラインで書籍を購入できる時代にあっても、専門書店には、目的の本を探すだけでなく、思いがけない一冊と出会い、信仰や宗教についての関心を深める入口としての役割がある。信徒にとっての信仰生活の支えであると同時に、教会になじみのない人々にとっても、キリスト教の思想や文化に触れる接点となり得る。
四谷駅に近い商業施設への移転は、従来の利用者とのつながりを保ちながら、新たな来店者との接点を広げる可能性も持つ。菊地枢機卿が祝別式で語った「出会いの場」という言葉は、単に書籍を販売するだけではない、キリスト教専門書店の存在意義を改めて問いかけている。
新店舗の所在地は東京都新宿区四谷1―6―1、コモレモール1階。営業時間は午前10時から午後6時まで。日曜、祝日などは休業する。
*写真=聖パウロ修道会/サンパウロ公式フェイスブックより
