教会員・職員4割減を見据え組織改革 独バイエルンのルーテル教会が牧師中心の体制転換へ

ドイツ南部のバイエルン福音ルーテル教会が、教会員の減少や財政難を背景に、牧師を中心とした従来の教会運営から、複数の専門職が協働する地域単位の体制への転換を進めている。同教会は2035年までに教会員、常勤職員、実質的な購買力がそれぞれ約40%減少すると予測。牧師や執事、宗教教育担当者、教会音楽家らがチームで働く仕組みを整え、個々の教会が抱える事務負担の軽減と牧会活動の維持を目指す。ドイツの福音主義通信(epd)が11月2日付で報じた。

同教会の人事責任者シュテファン・ライマース上級教会参事は、減少する人員への対応として、拘束力のあるチームによる協働が必要だと説明。今後は原則として、常勤換算で5人以上の複数職種チームを編成することを、新たな職員配置の条件とする。各チームには少なくとも神学専門職1人分と、神学・教育系専門職0.5人分の配置を求め、それ以外の構成は地域の実情に応じて決定する方針だ。

改革の柱となるのが、約1500の地域教会を、より広域の「地域共同体」にまとめる構想。教会ごとに担ってきた会計や人事、施設管理などの事務を共同化し、牧師らが説教や牧会、信徒との関わりに専念できる環境を整える。すでにダッハウやフュルトなどでは、複数職種による協働の実践が進んでいる。

ドイツのプロテスタント教会は16世紀の宗教改革以来、領邦ごとに形成された教会組織を基盤として発展してきた。バイエルン福音ルーテル教会もその歴史を受け継ぐ州教会の一つで、地域の教会と牧師が住民の信仰生活を支える仕組みを築いてきた。1918年のドイツ帝政崩壊後には国家の統治機構から独立した教会運営へ移行したが、地域教会を中心とする組織構造は維持されてきた。

戦後の西ドイツでは、教会が社会福祉や教育にも幅広く関与し、教会税による財政基盤の下で多数の牧師や専門職を配置してきた。しかし、近年は世俗化や教会離れ、高齢化によって教会員が減少。ドイツではカトリック教会、プロテスタント教会の双方で脱退者が増え、従来の財政・人員配置を維持することが難しくなっている。

バイエルン福音ルーテル教会では、2025年秋の教会総会で、2035年までに職員配置計画上のポストを全体で25%削減する方針を決定した。地域間の格差を抑えるため、個々の教区における削減率には35%の上限を設ける。教会音楽や教区の指導職、外部資金で賄われる職員などは削減の対象外とし、主に退職などの自然減によって調整する。各教区は2032年までに具体的な配置計画を決め、2034年末までに実施する予定。

改革の背景には、ドイツ特有の教会税制度がある。ドイツでは、一定の条件を満たす教会の登録信徒が所得に応じて教会税を納め、教会の財政を支えている。バイエルン福音ルーテル教会では、教会税収入が収入全体の約8割を占める。2025年の教会総会では、当時約200万人だった教会員が2035年には120万~150万人に減少するとの見通しが示された。教会員の減少は、財政収入だけでなく、教会活動を支える人材の確保にも直結する。

こうした状況に対し、ライマース氏は、常勤職員の減少を信徒のボランティア活動だけで補うという発想に疑問を呈した。教会員が減少する中で、奉仕者だけが増えるとは考えにくいからだ。一方、信徒が研修を通じて専門的な役割を担い、自律的に活動できるよう支援する必要性も強調している。

従来の体制では、牧師が説教や礼拝、牧会に加え、幼稚園の運営や施設管理、会計など幅広い業務を担ってきた。改革を進める教会関係者からは、牧師は人々と向き合うためにいるのであって、表計算のためにいるのではないとの声も上がる。複数職種によるチーム制は、単なる人員削減策ではなく、牧師の役割そのものを見直す試みでもある。

もっとも、長年親しんできた地域教会の独立性が失われることへの不安や、牧師と信徒の関係が希薄になることへの懸念もある。教会総会には改革に反対する請願も寄せられており、地域ごとの事情をどこまで反映できるかが課題となっている。

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