キリスト教書目録に統一協会系書籍 刊行会、「遺憾」表明し回収へ 「出版の自由で断れなかった」と東販説明 【再録】1992年2月15日

キリスト教書総目録刊行会発行の「キリスト教書総目録No.3・一九九二年版」に、世界基督教統一神霊協会(統一協会)系の出版社、光言社の書籍が掲載されていることが明らかとなり、同刊行会は、目録回収の方向で動き始めた。統一協会に対しては、日本キリスト教協議会(NCC)、日本カトリック教会司教協議会、日本福音連盟、日本基督教団など、日本のキリスト教界の大勢は「統一協会をキリスト教と見なすことはできない」と声明などで見解を発表しており、キリスト教書と銘打った目録の中に統一協会系の書籍が掲載されたことは「及ぼす悪影響の大きさを恐れる」と統一協会問題と取り組むキリスト者グループなどから、刊行会へ抗議が寄せられている。

キリスト教書総目録刊行会は、キリスト教書店及び出版社が、読者に有効な情報を提供できるようにしたいとの声を背景に、いわゆるNCC系、福音派系、カトリック系の出版社十社及び一般出版社五社、これに卸会社の東販が加わり十六社で組織され、八九年に一九九〇年版として「キリスト教総目録No.1」を創刊、続いて九〇年に「No.2」を発行、年ごとに内容充実を目指し、掲載点数を増やしてきた。

「No.2」までは統一協会系出版社の書籍は掲載されなかつたが、昨年十二月十日に発行された「No.3」に、光言社の書籍が掲載された経緯について、刊行会関係者は、編集実務に当たっている東販筋の説明として、光言社と東販とは取引があり、揭載希望があれば表現・出版の自由のからみで、断り切れない事情があったとしている。

刊行会関係者の話では、「揭載経緯の事情は事情として、掲載チェックに至らなかったことについて、統一協会問題に取り組んでいる人々、統一協会によって被害を受けている人々、悪影響を受けた人々に対して申し訳ない」と遺憾の意を表明し、次回からは統一協会関係出版社の書籍は揭載しない、東販、日キ販などの卸会社を通し、目録を回収する方向で、刊行会を組織する各社と善後策を実行することを明らかにしている。

 問題となった図書目錄の発行部数は二万。回収の費用もかなりの額にのぼり、また刊行会を構成する出版社はすべてがキリスト教出版社ではない事情や、統一協会に対する見解もキリスト教出版社と一般の出版社では同一ではないこともあり、刊行会存続の是非についての問題が生まれる可能性も生じている。

回収と経緯公表求める
日基教団原理問題連絡会など

 日本基督教団統一原理問題連絡会(桑原重夫代表世話人)、同教団九州教区「原理運動」対策委員会(山本爽起子代表)は一月二十五日付で、キリスト教書総目録刊行会に対し、「キリスト教書総目録No.3・一九九二年版」に統一協会系出版社の光言社の書籍が揭載されていることについて、抗議と要請書を出した。

 「この目録の果たす役割からして、及ぼす悪影響の大きさを恐れる」として、①「目録」の回収②揭載経緯の公表③反社会的出版をしたことについての責任表明――の三点を要請している。

 なお抗議、要請書には、目録に揭載された光言社発行の書籍四十三点を表記した書類が添えられているが、そこには、幼児向けの絵本も含まれている。

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