青木義紀著 フランソワ・トレティーニの神論(吉田隆)【本のひろば.com】

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評者: 吉田隆

正統主義神学の真の霊性とは何か
〈評者〉吉田 隆


フランソワ・トレティーニの神論
その神学的内容とスコラ的方法論

青木義紀著
四六判・202頁・定価1430円・新教出版社
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「中世のスコラ学とは〝針の上で何人の天使が踊れるか〟を考える暇な学問のことだ。それに対して、宗教改革者たちは聖書に基づいて……」と、スコラ学を揶揄した時代は、過去となりつつある。今や中世スコラ学を知らずして宗教改革の神学を理解することはできないし、プロテスタント・スコラ(=正統主義)を知らずして現代神学を論じることもできないと言われる時代になった。思想の歴史は、連続と非連続を繰り返すからだ。
一七世紀改革派正統主義の専門家であり、新正統主義(バルト)的視点からのカルヴァンや正統主義神学理解を厳しく批判したリチャード・ムラー氏は、授業の中で「それにもかかわらず、正統主義神学についての最良の紹介書はバルトの『教会教義学』だ」と言われたことがあった。つまり、カール・バルトは正統主義神学に学びつつ、それを批判的・現代的に展開したのだと。
前置きが長くなったが、本書は、すでに当該分野についての最良の入門書であるファン・アッセルト『改革派正統主義の神学─スコラ的方法論と歴史的展開』(教文館、二〇一六年)を翻訳出版された青木氏自身による、一七世紀の代表的神学者トレティーニについての本格的研究書である。わが国にもついに正統主義神学を研究される方が現れたことを嬉しく思い、本書を心より歓迎したい。

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