劣化する情報と劣化しない情報を見極める【聖書からよもやま話296】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  新約聖書、ルカの福音書の8章です。よろしくどうぞ。

ルカの福音書 8章18節

ですから、聞き方に注意しなさい。というのは、持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っていると思っているものまで取り上げられるからです。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

「持っている人はさらに与えられ、持っていない人は持っているものまで取り上げられる」というのは、よく経済的な不平等を指摘する文脈で用いられます。「金持ちはさらに金持ちになり、貧しい人はさらに貧しくなる。格差は拡大する一方だ!」というように。しかしイエス様がここで言っているのは「神様に対する知識や考え方」のことです。お金や財産のことを言っているわけではないんです。

知識というのはたしかに、持っている人にはさらに与えられるものです。たとえば本を読んで知識を得るためにはまず国語の知識がなくてはいけません。数学の難しい理屈を得るためにはまず算数の知識がなくてはいけません。英語ができる人は英語の文献からも知識を得ることができます。このように、知識というのは、一つから二つへ、二つから四つへという「広がり」を持つものであり、指数関数的に拡大していくものです。ですから小さな知識を大切にすることは、そこから広がる膨大な知識を大切にすることと同じです。

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UnsplashLacie Slezakが撮影した写真

またイエス様は「持っていない人は、持っていると思っているものまで取り上げられる」とも言っています。知識というのは常にアップデートしておかないと、いつの間にやら「時代遅れの古い知識」になって役に立たなくなります。自分では知識を持っているつもりなのに、知識を持っていないのと同じことになってしまいます。

そして知識には時間が経つにつれて「時代遅れ」になってしまうものと、時間が経っても「時代遅れ」にならないものの二種類があります。きちんとした知識を頭の中に構築するためには、この二種類を適切に分類・管理しなくてはいけません。どんな知識に触れるにせよ、その時には「この知識は時間経過で劣化するものなのか、いつまでも変わらない真理なのか」を見極める必要があります。日々消費されてゆくような時事ニュースは前者の代表例ですし、後者の代表例はなんと言っても聖書です。その見極めを間違うと、知識を持っているつもりでも何も持っていないのと同じ、という状況に陥りかねません。

「劣化する情報」と「劣化しない情報」を常に見極める耳目を持つこと。これが情報のあふれる現代社会を生きるための必須スキルなのかと思います。「劣化しない情報」こそが知識から知識への指数関数的拡大をもたらすものです。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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