カトリック聖職者の性的虐待、日本でも調査へ 高見大司教が被害者に謝罪

 

日本カトリック司教協議会会長の高見三明(たかみ・みつあき)・長崎大司教(73)が7日、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で開かれた集会「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」(主催・施設内虐待を許さない会)に参加し、被害者に謝罪をするとともに、国内の聖職者による性的虐待の調査に乗り出すことを明らかにした。今年2月、バチカン(ローマ教皇庁)が世界の司教を集めて対応を協議したが、そこに高見氏も日本のカトリック教会を代表して参加していた。

竹中勝美氏(左)と高見三明大司教

高見氏によると、同協議会の常任司教委員会は4日、全国に16ある司教区を通じた調査を早期に実施する方針を決定した。また、2002年と12年に実施した全国の教会へのアンケートで5件の性的虐待被害の申告があったが、その教区や修道会がそれについてどう対応したかも至急確認することに決めた。

常任司教委員会の委員長は髙見氏で、ほかに菊地功・東京教区大司教(司教協議会副会長)、前田万葉・枢機卿ならびに大阪教区大司教、梅村昌弘・横浜教区司教、松浦悟郎・名古屋教区司教、宮原良治・福岡教区司教、浜口末男・大分教区司教がメンバー。同協議会は、日本に788あるカトリック教会の課題を協議する組織だ。

今回の集会で話をした一人は、東京都内の公務員の竹中勝美(たけなか・かつみ)氏(62)。1960年代、幼少期を過ごした児童養護施設「東京サレジオ学園」(東京都小平市)でドイツ人神父から性的虐待を受けていた事実を「文藝春秋」3月号の記事の中で公にした(広野真嗣「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」)。この日の集会でも、大人になってから当時の記憶が突然よみがえり、苦しんできた体験を語った(詳細は文春オンラインで)。

カトリック聖職者による子どもへの性的虐待が世界で相次いで発覚する中、日本ではこれまで問題がほとんど表面化しなかった。しかし、バチカンでの司教会議に出席した高見氏は帰国後、竹中氏に「話を聞きたい」と手紙を送り、この集会が開かれることを知って長崎から駆けつけた。

竹中氏の体験を直接聞いた高見氏は、最後に主催者から求められてマイクを渡されると、次のように謝罪した。「聖職者によって性的虐待を受けた人が勇気を持って語ってくださったことに深い敬意を表したい。私たちが十分なことができず、苦しい思いをさせていることを本当に申し訳ないと思っている」。そう語った高見氏に竹中氏が歩み寄って握手をした。

「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」と高見氏が述べると、「宗教者が弱い者の側に立って率先して虐待に立ち向かってくれるなら、ぜひ協力したい」と竹中氏は答えたという。

 






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