川中仁編 新約聖書の奇跡物語(大川大地)【本のひろば.com】

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評者: 大川大地

奇跡物語の多様な解釈が示す新しい「方向定位の知」
〈評者〉大川大地


新約聖書の奇跡物語
川中 仁編
四六判・213頁・定価2200円・リトン
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「奇跡なんて起きない/そんなことはもう分かってる」。日本の女性三人組バンドSHISHAMOのシングル曲『ほら、笑っている』(二〇一七年)の一節だ。青春の恋心を歌った、よくあるポップソングだが、「奇跡」に対して現代人が持つ距離感と関心の双方がうまく表現されていると思う。日常生活で奇跡が起こることなどまずあり得ない。それでも心のどこかでは惹かれてしまう。だからこそ、音楽を含めたポップカルチャーの世界は「奇跡」の語であふれている。「新約聖書の奇跡物語」の場合も同じであろう。聖書の奇跡が「現実にはあり得ない」ことは、近代科学の世界観を生きる現代人にはもはや自明のことである。それでも、それらの物語は、現代でも多くの読者の心をとらえて離さない。

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