世界教会協議会(WCC)中央委員会 「分断された世界の和解」呼びかけ閉幕

写真=Albin Hillert/WCC

スイス・ジュネーブで1週間にわたり開かれていた世界教会協議会(WCC)中央委員会が6月27日、山積する世界的規模の課題について討議を重ねた上で閉会した。

同中央委員会は、WCCの総会と総会の間における最高統治機関としての役割を持ち、今回は2022年にドイツ・カールスルーエで開催された第11回総会で中央委員会が選出されて以来、初めての会合だった。

委員会は、世界規模の重大な問題に取り組むため、「化石燃料不拡散条約の支持と、COP28(国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議)のための準備」「アフリカとアフリカ人の子孫の人たちとのエキュメニカルな連帯」「アルツァフ(ナゴルノ・カラバフ)」「USAID(アメリカ合衆国国際開発庁)とWFP(国連世界食糧計画)によるエチオピアへの食料援助の停止」「SAYFO1915(シリア人とアッシリア人の大虐殺)」「ウクライナにおける戦争の環境への影響」「コソボとメトヒヤ」に関する七つの覚え書きを発表。

また、パレスチナとイスラエル、キプロスでの紛争について「政治的に駆り立てられたこれらの紛争は、何十年にもわたる違法な占領をもたらしてきた」と継続的な懸念を表明したほか、フィリピンにおける重大な人権侵害を非難する声明を発表したほか、17人の青年顧問や、委員会・作業部会の指導者らを任命するとともに、新たな「気候変動と持続可能な開発に関するWCC委員会」のために内規を改正した。

なお26日には、四つの声明を相次いで発表。世界人権宣言75周年を記念したほか、規制なしに開発と応用が急速に進められる生成AI(人工知能)への懸念と、ミャンマー情勢への憂慮を表明。朝鮮戦争停戦協定を平和条約に替えるよう強く求めた。

「朝鮮半島で緊張と対立が新たに激化する時にあって、私たちは今年が、朝鮮戦争の正式な終結ではなく停戦を確立した1953年の停戦協定から、70周年記念の年であることを想起する」と声明文には記されている。「私たちはこの危険な循環を終わらせるために、平和と対話のために、そして朝鮮半島だけでなく全世界の非核化のために祈る」

中央委員会の副モデレーターであるメルリン・ハイド・ライリー氏(ジャマイカ・バプテスト同盟事務総長)=写真下=は27日、閉会の祈りでの説教で、「キリストにある希望に突き動かされ、私たちは、分断された世界における和解の主体として、全世界に対する神の使命の一端を担い続けましょう」と呼び掛けた。

写真=Albin Hillert/WCC

「私たちは悩みや不満、痛みや苦しみの只中に帰るが、私たちの感謝の心は、イエス・キリストにおける神のみ業に焦点を当て続けることで、同労の信徒へのインスピレーションの源となり、未信者や求道者への証しとなるだろう」

「今日、故郷に帰る準備をするこの集会の最後の瞬間、『希望をもって喜びなさい』という招待状を受け入れるよう招かれている。ここから私たちは、南北アメリカ大陸、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニア、南極大陸へ、地の果てまで趣き、世界の資源の不公平な分配、食糧不安、貧困、紛争をもたらす環境を搾取する無責任な慣行に取り組むことにコミットする」

「確実な希望に突き動かされ、犯罪、人種差別、女性差別、分断、憎しみ、貪欲、紛争、戦争に取り組み、前進する。キリストにあって神に立ち返る聖霊の力によって、礼拝し、感謝し、希望を喜びながら、この場所を後にしよう」

(翻訳協力=中山信之、エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

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