今日4月5日は吉田拓郎の誕生日です。先日、自身のラジオ番組で、のどにがんが見つかり、闘病生活を送っていたことを明かしました。1972年1月に「結婚しようよ」をリリースしましたが、歌詞そのままにその年6月、長野県軽井沢にあるカトリック軽井沢教会(聖パウロ教会)で「六文銭」の四角佳子と結婚式を挙げました(75年に離婚)。堀辰雄「木の十字架」にはこのように書かれています。
その教会というのは、──信州軽井沢にある、聖パウロ・カトリック教会。いまから5年前(1935年)に、チェッコスロヴァキアの建築家アントニン・レイモンド氏が設計して建立(こんりゅう)したもの。簡素な木造の、何処(どこ)か瑞西(スイス)の寒村にでもありそうな、朴訥(ぼくとつ)な美しさに富んだ、何ともいえず好い感じのする建物である。カトリック建築の様式というものを私はよく知らないけれども、その特色らしく、屋根などの線という線がそれぞれに鋭い角をなして天を目ざしている。それらが一つになっていかにもすっきりとした印象を建物全体に与えているのでもあろうか。──町の裏側の、水車のある道に沿うて、その聖パウロ教会は立っている。小さな落葉松林(からまつばやし)を背負いながら、夕日なんぞに赫(かがや)いている木の十字架が、町の方からその水車の道へはいりかけると、すぐ、五六軒の、ごみごみした、薄汚ない民家の間から見えてくるのも、いかにも村の教会らしく、その感じもいいのである。