〝点〟ではなく〝面〟で 安達世羽 【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】

「おいしいパン、焼きそば、唐揚げはいかがですかー?」「すみません、焼きそばが残りわずかなので補充をお願いします!」――今年5月3日、私たちの教会の横にある生涯学習センターで、「おまつり」があった。私たちもカフェを通じて出店した。その様子の一部が冒頭の言葉である。

朝から10人ほどでパンや焼きそばを作り、袋詰め、会場のセッティングを行った。そして、販売時には「すぐ横の教会でドリンクをご用意しています」とドリンクチケットを配布。買ったその足で教会の中に足を運んでもらい、「ここに教会がある」「教会の中はこんな姿をしている」というのを知ってもらうためだ。

たくさんの人がパンや焼きそば、唐揚げを購入していった。100人以上は来ただろう。小さな町の「おまつり」で、それだけ人が来ればすごいことである。そして、60人近くの人が教会に足を運び、ドリンクを飲んだ。その中には、「昔、ここの日曜学校に来ていた」と語るおばあちゃんもいた。70年の教会の歴史の中で、確かにこの地域に福音の種が蒔かれていたことを実感する時でもあった。

さて、私たちの教会は10人ほどの小さな群れである。平均年齢も70近い。そんな高齢化した教会が果たして「おまつり」に出店できるほどのマンパワーがあるのだろうかと、気になる方もいるだろう。実際、お店を出すために袋詰めをしたり、販売をしたりするマンパワーは松田教会では限られている。しかし、祈りを通して支えてくれる人もいれば、お昼ご飯の差し入れをしてくれる人もいる。そして、私たちの教会〝だけ〟では、とてもこなせないので、同じ教団の近隣教会にヘルプをお願いした。そう、〝点〟として、つまり一つの教会で宣教をするのではなく、〝面〟として、同じ地域に属する教会と連携しながら宣教をしているのだ。

もちろん、松田教会が何かお手伝いできる時は、力を貸すことだってある。そうやって、お互いが持ちつ持たれつしながら、同じ神の国の民として、宣教の働きをしている。いや、そうでないと、とてもじゃないができないのが現実である。

また、松田教会が所属する神奈川県の西湘地区には、エキュメニカルな教職者の集いがある。今年は、クリスマスにみんなで協力して何か企画できないかと考えている。まさに、これも〝面〟としての働きである。地区の中には松田教会よりも人数が少ない教会もあるし、高齢化が深刻化している教会もある。地方教会は都会の教会よりもこの問題は深刻だろう。だからこそ、共通の問題を持っている者同士が互いの情報を共有し、祈り合い、力を出し合っていく。「地方教会のコレカラ」はそのような〝面〟としてのあり方が欠かせないだろう。

そのような姿がやがては日本全体の宣教のモデルになっていくかもしれない。「地方教会のコレカラ」が「都心教会のコレカラ」、さらには「日本教会のコレカラ」の先駆けになっていくと考えると、ワクワク感が生じてくるではないか。

この記事が読まれる2週間後、今度は生涯学習センターの「夏フェス」がある。人手不足……。うーむ、遠慮なく「ヘルプ」をお願いしようではないか。

あだち・よはね 1993年、神奈川生まれ。名前から「隠れられないキリシタン」として中高生時代を過ごす。大学卒業後、2年間の自殺予防の働きを経て、聖契神学校へ入学。2023年、同校を卒業し、日本聖契キリスト教団松田聖契キリスト教会に赴任。趣味は横浜DeNAベイスターズの応援。

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