『教誨師』佐向大監督が神父と対談 「死刑は最大の国家権力の行使」

日本カトリック正義と平和協議会「死刑廃止を求める部会」(竹内修一部会長)は3月21日、映画『教誨師』オンライントークイベント「監督と教誨師と語ろう」を開催した(NPO法人マザーハウス共催)。

2018年公開の映画『教誨師』で監督を務めた佐向大氏=写真左=と、長年実際に「教誨師」として働いてきたハビエル・ガラルダ氏(イエズス会司祭)=写真右=が、撮影時の逸話や教誨師の実態などについて語り合った。

ガラルダ氏は自身の体験から、拘置所内で死刑囚と話す際は、歴史や政治、外の世界の話など話題が限られるとし、「犯した罪や悔い改めなど、自身のことについて話を聞くことや、カトリックの『ゆるしの秘跡』について話すことは難しい」と打ち明けた。

キリスト教の教義について理解し切れない部分もあったという佐向氏は、作品内でそれぞれの死刑囚が犯した具体的な行為をあえて描写しなかった理由について、「彼らを自分とは違う特別な人間だと思ってほしくなかった」とし、「いまだにこれで良かったのか分からないと思うほど、脚本づくりには苦労した」と振り返った。

相手が死刑囚であっても、長く関わっているうちに親しい友人になるとガラルダ氏。その人の刑が執行されることはとても耐えがたく、その辛さから逃れるため、刑の執行についてはお互い話さないようにしているという。

その上で、「生きて償うという道もある。反対意見も理解はしているが、アメリカの例を見ても死刑に抑止力はない。社会は人を切り捨てるためではなく、生かすためにある。改心した人を殺さずに済む他の方法があるはず」と、改めて廃止を望む理由を語った。

佐向氏も、「死刑は究極の国家権力の行使であるにもかかわらず、多くの情報は隠されたまま。『教誨師』は啓蒙するつもりで作った作品ではないが、一人ひとりが当事者として考えなければならない問題」と訴えた。

対談の模様は日本カトリック正義と平和協議会のYouTubeチャンネルでも公開されている。

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