第50回キリスト教功労者顕彰式 山内一郎さん、鳥羽季義さん、長沢道子さん 「働きを代表して賞を受けた」

 

第50回キリスト教功労者顕彰式(主催:日本キリスト教文化協会)が21日、教文館ウェンライト・ホール(東京都中央区)で行われた。今年は、関西学院大学名誉教授の山内一郎(やまうち・いちろう)さん、日本ウィクリフ聖書翻訳協会宣教師の鳥羽季義(とば・すえよし)さん、牧ノ原やまばと学園理事長の長沢道子(ながさわ・みちこ)さんが顕彰された。3人とも、「多くの人に支えられたこの働きを代表して賞を受けたと思っている」と挨拶(あいさつ)した。

これは、キリスト教関係の社会事業、教育事業、文化事業、キリスト教思想の普及に功労のあった75歳以上の人を顕彰するもの。正賞として表彰状、副賞として30万円と輸入降誕セットが贈られる。これまで日野原重明さん(第20回)や三浦光世・綾子夫妻(第30回)など、185人が顕彰されてきた。

ビデオレターで挨拶する山内一郎さん

山内さんは1935年、名古屋市生まれ。48年、新制の関西学院中学部2期生として入学し、高等部を経て、58年、関西学院大学神学部を卒業。59年、日本基督教団・大阪東十三教会協力牧師になり、67年、正教師の按手礼を受ける。60年、同大学院神学研究科修士課程(新約聖書学専攻)を修了し、中学部宗教主事に就任。63~65年、米国デューク大学大学院にIBC奨学金で留学。帰国後、65年から関西学院大学神学部専任講師、69年から同大助教授を経て、75年、同大教授に就任した。関西学院院長代理、キリスト教主義教育研究室長などを歴任。

97年、神学部長、翌年に第13代院長に就任し(2004年まで)、01年より高中部長、02年より理事長(08年まで)を兼務した。03年にはキリスト教学校教育同盟理事長に就任し、日本私立大学連盟常任理事や大学評価準備委員会委員としても活躍。01年、米国ディラード大学より名誉神学博士の学位を受けた。

最初、キリスト教教育学を担当し、共著『キリスト教教育辞典』(日本キリスト教団出版局、1969年)や単著『神学とキリスト教教育』(同、73年)を著す。その後、新約聖書神学の研究に入り、監修共訳『カラー版聖書大事典』(新教出版社、91年)、監修『新教/タイムズ聖書歴史地図』(同、93年)、共著『新共同訳新約聖書略解』(日本キリスト教団出版局、2000年)に携わった。著書に『メソジズムの源流──ウェスレー生誕300年を記念して』(キリスト新聞社、04年)、『輝く自由──関西学院の教育的使命』(関西学院大学出版会、09年)などがある。

鳥羽季義さん

鳥羽さんは1938年、長野県生まれ。高校生の時にクリスチャンになり、ヘボン宣教師のように聖書翻訳をするという夢を持った。日本大学を卒業後、米国マルトノマ神学大学、ワシントン州立大学で学び、言語学や翻訳学などの訓練を受ける。日本福音キリスト教会連合・浜田山キリスト教会から派遣され、70年より日本ウィクリフ聖書翻訳協会宣教師として、エベレストのふもとにあるネパール・カリンの村に入った。

文字を持たないカリン語の文字作りから始め、カリン語の聖書翻訳に従事。76年、伝道したということを理由に国外退去命令を受けて、いったん帰国。81年まで日本ウィクリフ聖書翻訳協会の初代総主事を務めた後、84年、ネパールに戻り、翻訳を再開。94年にカリン語新約聖書を完成し、2011年、旧約を合わせた聖書全巻を出版した。編書に『ネパール語基礎1500語』(大学書林、80年)、『ネパール語会話練習帳』(同、84年)がある。

長沢道子さん

長沢さんは1942年、大阪府生まれ、高知県育ち。国際基督教大学を卒業後、日本基督教団・成宗教会(東京都杉並区)で受洗。東洋レーヨン(現・東レ)で翻訳などの仕事をした後、恵泉女学園高校英語科教師として働く。77年、日本基督教団・榛原(はいばら)教会(静岡県牧之原市)牧師で、重度知的障がい者施設「牧ノ原やまばと学園」理事長である長沢巌さんと結婚。重い知的障がい者を自宅に迎え入れ、「やまばとホーム」でハンディのある人々と共に暮らしつつ、昼間は「やまばと作業所」指導員として働く。

83年、巌さんが髄膜腫(良性の脳腫瘍)摘出手術の失敗で、四肢まひ、視力障がい、意識障がいという重度心身障がい者になると、ホームを解散し、介護に専念。86年、牧ノ原やまばと学園理事長に選任される。2007年に巌さんが逝去するまで、介護と理事長職の両立に努めた。現在、牧ノ原やまばと学園は31の事業所を持ち、460人の職員のもと、入所、通所、訪問介護、相談支援など、障がい者福祉活動と高齢者福祉活動を行っている。

著書に『シリーズ福祉に生きる 長沢巌』(大空社、2010年)、共著に『行き詰まりの先のあるもの』(いのちのことば社、14年)、訳書にジャン・バニエ『小さき者からの光』(あめんどう、10年)、ヘンリ・ナウエン『明日への道──ラルシュへと向かう旅路の記録』(同、01年)などがある。(「キリスト新聞」との共同取材)

 






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