【米クリスチャニティ・トゥデイ】「ナクバ」を超えて──パレスチナの未来のためにできる7つのこと

4 ユダヤ人を極悪非道な存在と見なすことをやめる

パレスチナに滞在する誰もが、パレスチナ人がどれだけユダヤ人を悪く言っているかを知っている。ユダヤ人も同じくパレスチナ人の悪口を言うが、パレスチナ人と関わるクリスチャンは、愛をもって真実を伝え、醜い中傷合戦に抗しなければならない。

「ユダヤ人がパレスチナを侵略したのは、ヨーロッパからユダヤ人を追い出し、中東植民地化のためにユダヤ人を利用しようという西側の手の込んだ陰謀によるものだ」と、パレスチナ人の間でよく語られることがある。「今のユダヤ人は古代のユダヤ人とは違う民族であり、偽物だ。正当な血筋を引いているのはパレスチナ人であり、土地の所有権があるのもパレスチナ人だ」と主張する者もいる。

パレスチナ人のアイデンティティーがシオニスト国家への対抗という性質を持っていることが、問題を複雑にしている。パレスチナ民族のナラティブ(物語)、観念、英雄、敵などはすべて、他の誰かのアイデンティティーに相対するものとして定義される。パレスチナ人であることはシオニストに抵抗することと同義であり、侵略者に抵抗することは民族の使命となる。侵略者の手にかかって苦しむパレスチナ人や侵略者を苦しめるパレスチナ人は民族の英雄となり、侵略者を受け入れる者は裏切り者と見なされる。

しかしながら、パレスチナ人のアイデンティティーはただシオニスト否定の上に築かれているのではないはずだ。それではただ暴力と苦しみの悪循環が続くだけである。「パレスチナのアイデンティティーは平和なものとなりうるのか。ならば、それはどのようなアイデンティティーか」とクリスチャンは問わねばならない。

5 暴力を支持することを拒否する

パレスチナ政策調査研究所による最近の世論調査によれば、全パレスチナ人の半数が、対イスラエル武装攻撃を支持している。また約同数が、イスラエル民間人への無差別攻撃を容認していた。これは、ヨルダン川西岸地域およびガザ地区で活動するクリスチャンが大きな問題として認識しておくべき現実だろう。

無差別な暴力は道徳的に間違っているだけでなく、自滅的だ。暴力がパレスチナ民族にとってよいものを生み出したことは一度としてない。1929年の「嘆きの壁事件」以来、93年の「オスロ協定」に至るまで、パレスチナの指導者の多くがユダヤ人を追い出そうと暴力を用いてきたが、かえってユダヤ人の侵攻は進んだ。パレスチナ人の自治政府がようやく成立したのは、93年のオスロ協定でパレスチナがついにイスラエル国家を認め、同時に領有権を主張する範囲をヨルダン川西岸地区とガザ地区に限ると決めた時だ。

しかし、この和平は長くは続かなかった。キャンプ・デービッドで行われた2000年の「最終地位交渉」が物別れに終わった後、パレスチナ人指導者たちはイスラエル国家内に多くの自爆テロリストを送り込み、多くの市民が犠牲になった。この「第2次インティファーダ(抵抗運動)」以降、ガザ地区の惨状は急速に悪化し、ヨルダン川西岸地区には分離壁が建設され、あらゆる次元でパレスチナ民族運動の分裂が進んだ。相手がどこの国であれ、パレスチナが外国に暴力を向けるたび、パレスチナ人の生活は改善するどころか、いつでも悪化した。

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