納豆がセレブ御用達の最高級食材だったら【聖書からよもやま話395】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、詩篇の123篇です。よろしくどうぞ。

 

詩篇 123篇4節

私たちのたましいは
安逸を貪る者たちの嘲りと
高ぶる者たちの蔑みでいっぱいです。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

この詩人は自分の魂が「嘲りと蔑みでいっぱいです」と言っていますが、これはもちろんこの人が他の人に対する嘲りと蔑みで満ちているのではなく、「貪る者」とか「高ぶる者」からの嘲りと蔑みに満ちてしまっているということです。つまり他の人からの嘲りや蔑みに傷ついてしまっているということです。

SNSの発達には功罪があると言われますが、その「罪」の一つに「自分と他人を比べて落ち込んでしまう」というのがあります。他の人たちの充実した生活の様子を見て、「それに引き換え自分には良いことがない・・・」と落ち込んでしまうことって、SNSをやっていれば経験したことのある方も少なくないでしょう。その「充実した生活」を送っている人たちは別にあなたを嘲ったり蔑んだりしているわけではないのに、なぜかダメージを受けてしまう自分の心。不思議なものです。

キラキラな「充実した生活」をしている人は、しかし誰も僕たちのことを馬鹿にしてはいません。なんなら何の意識さえもしていません。自分の生活を楽しんでいるだけです。しかしそれを見せつけられるこちらは、なんだか差をつけられている気がしてしまって、蔑まれたり嘲られたりしているような気持ちになってしまう。人間の心って妙なものです。聖書のこの詩人の気持ちも似たようなものなのかと思います。もしかしたら、誰もこの詩人を直接は嘲ったり蔑んだりしていないのかもしれません。周りの人たちの「充実した生活」を見て、「それに引き換え自分は・・・」と落ち込んでしまっているだけなのかもしれません。

と、いうことは、自分の心を落ち込ませないコツは「それに引き換え自分は・・・」という心、つまり自分と人を比べることをやめることです。SNSで周りの人が豪華な寿司やステーキを食べている一方で、自分の目の前には何の変哲もない納豆ごはんしかないとしても、それを比べないことです。

そもそも、納豆ごはんより寿司の方がおいしいなんて誰が決めたんですか。子どもの頃から父によく「値段が高いものが旨いと思うな」と教えられました。高いものは希少価値があるから高いだけであって、旨いから高いわけではないと。だって、キャビアとタラコと、どっちがおいしいですか。もしキャビアが安くてタラコが高かったら、誰もキャビアをありがたがりなんてしないんじゃないでしょうか。納豆がとんでもない貴重品だったらどうでしょう?みんな納豆をありがたがって、もしかしたらテレビで「セレブ御用達!世界最高の美食!」なんて言い出すかもしれません。

詩篇では他にも、いや、詩篇に限らず聖書全体を通してもですが、「富める者たちが私を蔑むのです」という訴えがたくさん出てきます。が、実はその「富める者」の皆さんは「私」を蔑んでないんていないのではないかと思います。その「蔑み」を生み出しているのはむしろ自分自身の「自分と他人を比べる心」「それに引き換え自分は・・・」の心ではないかと思います。

さて、僕はそろそろ食事にします。もちろん納豆ごはんです。好きなので毎日食べます。今日はちょっと贅沢にめかぶも追加しちゃおうかしら。そして「今日はちょっと贅沢!」とSNSにアップしてしまおうかしら。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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