Q.キリスト教の教えには共感するが、聖書は非科学的だという友人にどう答えればよいでしょうか?(40代・男性)
キリスト教の愛の教えはよく理解できるが、聖書の奇跡物語にはついていけない。特にキリストが死からよみがえったなどということは、非科学的で理性に反する迷信ではないのか……。古来、教会はこうした疑念や不信と向き合いながら、キリストの福音を宣べ伝えてきました。
昔の人だから、復活のような荒唐無稽な奇跡を信じられたのだ、と考えてはなりません。近代の科学的思考、合理主義が幅をきかす前から、常識に反する出来事は誰にも容易に信じられなかったからです。
初めて地球の外に飛び立ったソ連の宇宙飛行士は、空に神はいなかったと語ったが、その後、同様に宇宙を旅したアメリカの飛行士は、私たちの信じる神はそれほど小さな方ではない、と反論したといいます。このエピソードからも、私たちがどんなスケールの神を信じるか、が焦点となることがお分かりでしょう。
キリストの復活は奇跡の中の奇跡と呼ばれています。十字架上で処刑され完全に死んでしまった人間が墓から生き返る? そんな非常識で、意外なニュースを弟子たちも最初は信じなかった、と福音書が記しています。
ところが主イエスと直接出会い、聖書全体から神の救いのプランについて丁寧に解き明かされると、心の眼が開かれました(ルカ24:27)。
聖書において証しされる神は、気まぐれに奇跡を起こす方ではありません。むしろ人間よりもはるかに理性的で、人間のために深く配慮される方です。すぐに結論を出さず、聖書全体を読むよう、ご友人にお話しされたらいかがでしょうか。
やまなか・まさお 精神科医、日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師。 1951 年高知県生まれ。高知高専、広島大学医学部、日本アライアンス神学校卒。日本アライアンス教団関東教区長。マザーズ・カウンセリング・セン ター(MCC)運営委員長。著書に『こころの診療室』(日本キリスト教団出版局)、『うつ病とそのケア』(キリスト新聞社)など。