早稲田奉仕園 スコットホール100周年で記念礼拝「多様な人々の〝出会いの広場〟として」

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1922年に献堂式(竣工式)が行われてからちょうど100年目を迎えた1月29日、早稲田奉仕園(内田勝一理事長)はスコットホール献堂100周年感謝礼拝、および記念式典を開催した。長きにわたり奉仕園の事業を支えてきた関係者や、スコットホールを愛用してきた早稲田大学の学生、卒業生らが招かれ、その模様はオンラインでも配信された。

1908年、米北部バプテスト教会の宣教師であったH・B・ベニンホフが早稲田大学創始者の大隈重信から依頼を受け、キリスト教主義の学生寮「友愛学舎」を創設。さらに大きな学生センターを作ろうと1920年、西早稲田(旧豊多摩郡下戸塚村)に土地を購入し、赤煉瓦組積造のホールを建設した。北部バブテスト大会の総会でこの事業に強く賛同したハリエット・エマ・スコットが、亡き夫ジョンの遺産から多額の献金を申し出たことから、スコットホールとの名が付けられた。

ホールの設計は当時ペニンホフと親交のあったヴォーリズの建築事務所による設計原案に基づき、早稲田大学内藤多仲研究室の今井兼次助教授(当時)が担当。今井は早稲田大学演劇博物館なとの作品を残した日本を代表するクリスチャンの建築家である。スコットホールは1923年の関東大震災や1945年の東京大空襲での間近に迫った炎にも耐え、ほぼ建設当時のままの姿を今に残し、1991年には「東京都歴史的建造物意匠保存事業」の対象となっている。

完成当初から多目的ホールの機能を果たしてきた同ホールは、今日も日本基督教団早稲田教会の礼拝堂として、また音楽コンサート、地域の集会やイベント、ドラマやCMの撮影なとさまざまな用途に使われ、広く親しまれている。

感謝礼拝では、早稲田教会牧師の古賀博氏(早稲田奉仕園常任理事)が「風雪に耐えるもの」と題して説教。友愛学舎の舎生として学生時代を過ごし、後に舎監、早稲田奉仕園総主事も務めた向谷容堂(むこうだに・ようどう)の「教会は出会いの広場である」という言葉を紹介し、「多様な人々が出会い、憩い、安らぎ、共に語らうという奉仕園の方向性にも通じる」と述べた。また、NHKで放映中の連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」のタイトルにもなった替え歌が、米国聖公会で副牧師を務め、帰国後にラジオ英語講座の講師となった平川唯一(ひらかわ・ただいち)によるものという逸話も交え、「スコットホールが献堂時から響かせ続けてきた『どなたでもどうぞ』というメッセージを、苦難の時代にも継承し発展させていきたい。多様な人々のキリストにある調和と一致を求めて進むあり方が、さらなる歴史へと向かう奉仕園を支える力になる」と呼び掛けた。

 

記念式典では、弦間正彦氏(早稲田大学理事)、大矢誉生(たかお)氏(日本バプテスト同盟理事長、横浜教会牧師)、早稲田大学グリークラブによる祝辞、2冊の100年史を編纂した委員の紹介、一粒社ヴォーリズ建築事務所代表取締役の中山睦幸(むつゆき)氏による記念講演「スコットホールの楽しみ方」が行われた。

スコットホールではすでに献堂100周年を記念して、2019年にスイス製パイプオルガンが設置されたほか、2020年には記念シンポジウム「若き日の出会い 杉原千畝と早稲田奉仕園――創設者ベニンホフ宣教師と1920年前後の青年たち」が開催されていた。

竣工当時のスコットホール

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