【訃報】 フジコ・ヘミングさん(ピアニスト)

4月21日、すい臓がんのため逝去。92歳。告別式は近親者で行われた。後日お別れの会を開く予定。

1931年ドイツ・ベルリン生まれ。建築家でスウェーデン人の父と、ピアニストで日本人の母をもつ。17歳でデビュー。東京音楽学校(現東京芸大)在学中に毎日コンクール入賞。30歳でベルリン国立音楽学校に留学。耳の疾患のため引退を余儀なくされるも、帰国後98年に復帰。99年NHKのドキュメンタリー番組で一躍その名が広まり、同年のデビューアルバム「奇蹟のカンパネラ」が200万枚以上の大ヒット。2020年には、日本基督教団阿佐ヶ谷教会で収録された無観客、ソロ演奏がWOWOWで放映された。

電子版「パリ通信」のインタビューでは「80年代、ベルリンでカトリックの洗礼を受けたので、それに答えるため、いつも自分を正しい生き方、清らかな生き方ができるように心がけている。そのために人間は『生』を神さまからいただいていると思う」と答えている。

フジコ・ヘミング財団は5月2日に訃報を公表し、「聴力を失っても魂でピアノを弾き続ける強さを持ちつつも、動物愛護を実践して保護猫を多数引き取り、また被災者や大変な思いをしている人達へのチャリティコンサートを積極的に行うなど、慈愛の心に満ちあふれた人でした」と故人を偲んだ。

晩年、チャリティーコンサートで共演するなど親交のあった陣内大蔵さん(日本基督教団東美教会牧師)はフェイスブック上で「繊細だけれど時に大胆、どんな時にも見え隠れする乙女心、小さきものに対する感性、色んなことでインスパイアされました。『死ぬ人は、その人が死ななければ贈れない最善の贈り物を後の人に残していく。それを受け取った人は不思議な力を受け、新しい生涯が始まる。母の死はそんなことを教えてくれたわ』フジコさんの言葉です。御自身が世界中に贈り物を残されましたね」と思いを綴った。

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