「何者でもない」自分を愛する【聖書からよもやま話237】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
今日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は新約聖書 ガラテヤ人への手紙の6章です。それではよろしくどうぞ。

◆ガラテヤ人への手紙 6章3〜4節

だれかが、何者でもないのに、自分を何者かであるように思うなら、自分自身を欺いているのです。それぞれ自分の行いを吟味しなさい。そうすれば、自分にだけは誇ることができても、ほかの人には誇ることができなくなるでしょう。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

人はみんな、何者かでありたいものです。有名人になりたい人、大切な人の大切な人になりたい人、仕事において欠かせない人材になりたい人・・・人それぞれ望みは様々でしょうが、基本的に人はみんな「何者かでありたい」と思っているものです。ちょっと変わった人は「何者でもありたくない」なんて思ったりもしますが、それもまた「何者でもない者」になりたいのだとも言えます。

そして、自分の目指す「何者か」にはまだなっていないのに、あるいはまったく違う生き方をしているのに、自分はすでにその「何者か」であるかのように振る舞ってしまうことも、往々にしてあります。最近の世の中では専門家でも評論家でもないのに、専門家や評論家のようにSNSやニュースサイト上で誰かを批判したり評論したりするような人も、そんな一例かもしれません。僕自身も、まだミュージシャンの卵でしかない頃に「自分はミュージシャンである」と振る舞ったりしました。

僕はそれを必ずしもダメなことだとは思いません。何者かであるためにはその何者かにふさわしい振る舞いが必要ですから、何者かになるために、先にその振る舞いを身につけることも一つの道だと思います。しかし聖書は、それは「自分をあざむいている」ことだと言っています。確かにそれはそうです。何者かでないうちから、何者かであるように振る舞うのは自分を欺いています。というか、「言い聞かせている」という方が近いかもしれません。ミュージシャンではないのに「自分はミュージシャンなんだ」と自分に言い聞かせて、自分を奮い立たせるような感じ。それは必ずしも悪いことではありませんが、自分自身に大きな負荷をかけているのは確かなことですし、その負荷は自覚した方が良いかと思います。
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危険なのはそうやって自分を言い聞かせているうちに、本当に自分がその「何者か」になった気持ちになってきて、それを周囲に対しても誇るようになってしまうことです。そうなってしまうと「偽りの自分」を生きることになってしまいます。それはとても心が辛いものです。

「なりたい自分」が追求される世の中ですけれど、そのためにはまず「まだ何者でもない自分」を受け入れ、愛することが大切なのではないかと思います。自分が何者かでなければ自分を愛せないのなら、それは自分を愛しているのではなく「何者かである」という状態を愛しているだけです。本当に自分を愛するということは「何者でもない自分」を愛するということです。「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」というのは聖書でも有名なフレーズですし、イエス様が最も大切なこととして教えてくださったものです。自分自身を愛さなくては、隣人を愛することもできません。「何者かである」自分しか愛せないのなら、隣人に対しても「何者かである」ことをしか愛せません。「何者でもない」自分を愛してこそ、「何者でもない」隣人をも愛することができるようになるのかと思います。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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