Q.株式投資や宝くじ、ギャンブルでお金を儲けることは罪でしょうか? 経済的に豊かになることへ後ろめたさを覚えるのですが……。(30代・男性)
子どものころは、お金の価値がよくわからなかった。だが成長すると共にお金を手にするには労働を要することがわかり、1円の重さを日々実感している。それが、大多数の大人の金銭感覚ではないでしょうか。
その一方で、わずかの投資で多額の報酬を得る人がいないわけでもありません。その典型が株式投資や宝くじ、ギャンブルなどを利用して成功したケースでしょう。だからこそ「一攫千金」という言葉に魅了される人々が、いつの時代にも絶えないわけです。
では、聖書によれば、お金を儲けること自体が罪なのでしょうか。もちろん、罪ではありません。タラントンのたとえ(マタイによる福音書25章14~30節)では、まじめに労働し、報酬をえることが勧められています。
ただし、キリストの救いは、人間の功績や努力によらない。神の一方的恵みによることも事実です。キリストの無償の愛に活かされる喜び! そこから目先の損得に縛られない、堅実な生活が生まれてきます。
私の人生はすでに大儲けしている! そう思えるならば、奪うよりも与えることを願い始め、お金の有効な用い方を慎重に考えるでしょう。
まずは、お金の本質を見抜くことです。額面は同じでも、慈善事業の寄付金とギャンブルのお金は、同じではありません。前者には愛が、後者には欲望が付加されているからです。「金銭の欲は、すべての悪の根です」(テモテへの手紙一6章10節)
確かに、生きることは経済活動そのものです。ギャンブルで得たお金が、人を本当に幸福にするのか……。冷静に問い直してみましょう。
やまなか・まさお 精神科医、日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師。 1951 年高知県生まれ。高知高専、広島大学医学部、日本アライアンス神学校卒。日本アライアンス教団関東教区長。マザーズ・カウンセリング・セン ター(MCC)運営委員長。著書に『こころの診療室』(日本キリスト教団出版局)、『うつ病とそのケア』(キリスト新聞社)など。