自称「白馬の王子」、実は知らぬ間に「カエルの王様」【聖書からよもやま話62】

昨夜、関東では大きな地震がありましたが、皆様ご無事でしょうか。MAROです。今日も日刊キリスト新聞クリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、列王記第一の11章です。それではよろしくどうぞ。


◆列王記第一 11章8節

彼は異国人であるすべての妻のためにも同じようにしたので、彼女たちは自分の神々に香をたき、いけにえを献げた。(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

聖書界No.1の賢者と言われるソロモン王ですが、歳をとるに従って神様に背く「悪王」になっていきました。この章の3節には、「彼には、七百人の王妃としての妻と、三百人の側女がいた。その妻たちが彼の心を転じた」と記されています。なんと合計1000人も妻がいたというわけです。その妻たちはソロモンの従うべき聖書の神様とは、別の神々をそれぞれ信じていました。1000人もいたのですから、その神々もそれぞれ多種多様でしたが、ソロモンはそのすべての神々に対して「妻が喜ぶなら!」と祭壇を作ってまつりました。

「すべての妻を平等に扱う」というのは、一夫多妻制の基本らしいですが、しかしいくらなんでもやりすぎです。しかもそれをソロモンは国費でそれをやりました。(まぁ、当時は国家予算と国王の私財の区別は、今よりも曖昧でしたでしょうが)そんなことしたら予算がいくらあっても足りません。現代で言えば、神道仏教キリスト教から新宗教に至るまで、あらゆる宗教団体を国費で保護するようなものです。

もちろんソロモンのこの行動に神様は大いに怒りました。そしてソロモンに「本当なら今すぐにでもお前を王の座から引き下ろしてやりたいところだけど、お前の父ダビデに免じてお前が生きている間は王のままでいさせてやる。でも、君の息子の代にはこの国は分裂させる!」と言いました。これは本当にその通りになり、イスラエルの国はこの後、南北に分裂することになりました。

ソロモンはもしかしたら一人一人の妻に対しては「良き夫」だったかもしれません。一人一人の妻を喜ばせるために、力を尽くしたのですから。しかし、そのために自分の信仰を失ってしまったら本末転倒です。これは、あえて信仰を信念と言い換えても同じことが言えると思います。妻と夫が反対でも、もしかしたら夫婦ではなく恋人関係でも友人関係でも、同じことが言えると思います。自分の愛する人のために思いや力を尽くすうちに、いつの間にか自分を失ってしまう、そんなことは現代の僕たちにもあることです。そしてその時には、それまで自分が大切に築き上げてきたものが、台なしになってしまったりもするものです。ソロモンは若い頃に「賢王」として築き上げてきたものを、台なしにしてしまいました。国も、信仰も、栄光も。

人が人を愛する時、その愛が強ければ強いほど、そのために自分を失ってしまわないように、よくよく気を付ける必要があります。「愛のために」と言えば、なんだかすべてが美しく聴こえたりもしますが、「愛のために」だからと言って本当にすべてが美しいわけではないんです。むしろ「愛のために」だからこそ盲目的になってしまい、「白馬の王子様」のつもりで実はいつの間にやら呪われて「かえるの王様」と化してしまった自分に気づかないことがあるんです。

それではまた。
主にありて。
MAROでした。


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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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