沖縄キリスト教学院(大学・短期大学、沖縄県中頭郡西原町)は7日、同大チャペルにおいて教職員約50人が集まり、「ロシアのウクライナ侵略に反対する平和礼拝」を執り行った。同大学長の金永秀氏からは、一刻も早い停戦と平和の実現を強く願う「ウクライナの平和を訴える緊急声明」が発表された。
ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まって半月。連日報じられる凄惨な地上戦は、77年前に沖縄戦で多くの命が奪われた沖縄にとって他人事ではない。それに加え、同大にはウクライナ出身の教員であるポドリヤク・ナタリヤ准教授が在職しており、その言葉にならない不安と悲しみ、そして苦しみを、学院全体の祈りを通して共有したいと声明で発信した。
礼拝後には、ポドリヤク・ナタリヤ准教授が、現在の胸の内を涙ながらに語った。同大によるとポドリヤク准教授の言葉に、参加している教職員の中にも目頭を押さえ、大きく頷(うなづ)く姿が見られたという。さらに次のように伝える。
昨年のクリスマス礼拝以来となるチャペルでの礼拝。その内容は全く違ったものとなりましたが、一人の抱える痛みに連帯する所から沖縄キリスト教学院に連なる教職員が大きく一つに繋がったように感じられました。
同院では「ウクライナ平和支援献金」も呼びかけている。すでに150万人以上とされるウクライナの難民を支援する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と、ポドリヤク准教授が長年繋がっている難病を抱えるこども専門病院「キエフ市立子ども神経外科センター」への支援を計画している。
同院は、1957年、プロテスタント福音主義に則ったキリスト教精神を土台に、沖縄を国際的平和の島にしてゆく人材の育成を目指し、仲里朝章牧師(同院初代理事長)を中心とする沖縄キリスト教団(現、日本キリスト教団沖縄教区)の指導者たちによって、首里教会(沖縄県民那覇市)の教会堂を校舎として開学したところから始まる。そこには、それらの人たちの太平洋戦争下での皇民化教育への反省と沖縄再建の強い願いがあった。
同院が唱えるキリスト教精神とは、聖書が証するイエス・キリストの和解と平和に基づき、他民族と異文化の理解を深め、他者へ仕え、少数者の人権を尊重するもの。そこに立脚しつつ、過去には凄惨な地上戦を体験し、現在も軍事基地を抱える沖縄から世界へ平和を訴え発信してゆく「平和を実現する人」(マタイによる福音書5章9節)と、キリストの謙遜さに倣(なら)い、隣人へ奉仕する(同書20章28節)人材の育成を教育の使命とする。
声明全文は以下のとおり。
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