今日7月28日は大原孫三郎(おおはら・まござぶろう)の誕生日。日本で初めて西洋美術を展示する大原美術館(岡山県倉敷市)を作ったクリスチャン実業家です。今はユニクロにも繊維を提供している倉敷紡績、またクラレや中国電力、中国銀行の前身の社長や頭取を務めました。「倉敷を東洋のエルサレムに」と言ったとおり、現在、倉敷は観光地としてにぎわっています。
19歳で、岡山孤児院を創設したクリスチャンの石井十次(いしい・じゅうじ)と知り合い、25歳で香登(かがと)教会(岡山県備前市、日本組合基督教会から現在は日本イエス・キリスト教団)の溝手文太郎(みぞて・ぶんたろう)牧師から洗礼を受けます。翌1906年、倉敷紡績の社長を父親から継ぐと同時に、倉敷教会(現在、日本基督教団)の創設者の一人となりました。
また、石井の働きを生涯にわたって支援しましたが、その額は現在の金額では数百億に上りました。周囲の反対には、「わしの眼は十年先が見える。十年経てば、世人もわしのやった意味が分かる」と押し切ったといいます。そして、いつも次のような聖句を暗誦していました。
この世で富んでいる人々に命じなさい。高慢にならず、不確かな富に望みを置くのではなく、わたしたちにすべてのものを豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。善を行い、良い行いに富み、物惜しみをせず、喜んで分け与えるように。真の命を得るために、未来に備えて自分のために堅固な基礎を築くようにと。(1テモテ6:17~19)
その生涯は、城山三郎の小説『わしの眼は十年先が見える』(新潮文庫)、兼田麗子『大原孫三郎──善意と戦略の経営者』(中公新書)などに詳しい。