熊田凡子著 日本におけるキリスト教保育思想の継承(片山知子)【本のひろば.com】

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評者: 片山知子

キリスト教保育の歴史的意義を示す
〈評者〉片山知子


日本におけるキリスト教保育思想の継承
立花富、南信子、女性宣教師の史料を巡って

熊田凡子著
A5判・504頁・定価8800円・教文館
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原稿依頼を受けた三月初め、よもやこの時代にウクライナとロシアとの地域紛争が拡大して戦争状態となり、日々の報道に数多くの粗末な十字架の墓標が映し出される状況になるとは予想もしなかった。本の紹介文の冒頭には相応しくないと思うが敢えて記す。
それは、子どもの保育という営みが戦争とは対極の平和な生活の保障を前提とするからである。保育思想の背景には子どもを愛おしみ尊重しようとした人々の存在がある。COVID-19のパンデミックが収束せずに二年以上経ち、更にこの戦禍で多くの子どもたちがいのちの危機に直面させられていることに心痛め、一日も早い解決を求め祈りを合わせたい。
さて、本書は保育実践者から研究者として歩まれている熊田凡子先生がご研究を博士論文にまとめられた著書である。内容は、これまで発表分析されなかった日本のキリスト教保育の一次史料を基に、キリスト教保育が日本の幼児教育へ果たした歴史的意義を多くの視点を用いて示されたものである。
日本の近代の幕開けの中、草創期のキリスト教保育事業は女性宣教師の働きとして始められた歴史を持つ。本書ではこれまでに出された文献、資料、史料を網羅してキリスト教保育思想と日本の保育との関係性を明らかにしながら、これまで十分検証されずにいた領域に注目して論じている。日本のキリスト教保育の実践者として大きな影響を与えてきた南信子の存在に端を発し、現存する保育実践の記録等を分析した研究の果実である。

つづきは、本のひろば.comで見る

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