【インタビュー】四谷新生幼稚園副園長・上瀧慶大さん(前編) 自然の中で「神様がいる」との気づきが

 

人生の最初の教育の場である幼稚園に、教会はどのように関わっているのだろうか。日本基督教団・四谷新生教会(的場惠美子牧師)付属四谷新生幼稚園(東京都新宿区、同園長)を訪れ、副園長を務める上瀧慶大(かみたき・けいた)さんに話を聞いた。

上瀧慶大さん=8日、四谷新生幼稚園(東京都新宿区)で

──四谷新生幼稚園について教えてください。

「子供たちをわたしのところに来させなさい。妨げてはならない。神の国はこのような者たちのものである」(マルコ10:14)という御言葉を基盤として、1952年に日本基督教団・四谷新生教会によって設立されました。これまで1871人の卒園生を送り出しています。

現在は、年少、年中、年長の3クラスで、73人の園児をお預かりしています。入園前の2歳児クラスというのもあって、こちらは子育て支援ということで行っています。保育時間は、月火木金が午前9時から午後2時で、水曜日が午前保育となっています。土曜日は休園日ですが、月1回の日曜日が保育日となっています。

──教会付属幼稚園と普通の私立幼稚園との違いは?

当園の保育は、キリスト教保育と自由保育の2本柱です。一般の私立幼稚園との違いは、やはりキリスト教保育です。キリスト教では、子どもも大人も、神によって創造され、生命が与えられたかけがえのない存在として、神の恵みの中に生かされていると考えます。私たちも、分け隔てなく子どもたちを受け入れ、一人一人の人格に寄り添い、他人を思いやることのできる人に育ってほしいと願っています。そのために、聖書の言葉に触れ、賛美歌を歌い、お祈りをする礼拝を大切にしています。

──自由保育とは?

自由放任主義ではなく、自律した心を重んじる保育のことです。中には、幼稚園のうちから字を教えたり、体操の先生が来て体操を教えたり、英語を教えたりする幼稚園もありますが、当園では何かを教え込むということはしていません。子どもにとっていちばん大事なことは「あそび」だというのが基本的な考えです。あそびを通して人と人との関わり、自然の大きさ、目に見えない神様の存在を園児に伝えていくことが大事だと思い、保育をしています。

四谷新生幼稚園の園庭。緑あふれる中で子どもたちの豊かな心が育まれている。

──同園ならではのあそびはありますか。

園内では、実をつける植物がたくさんあります。数珠玉(じゅずだま)とか、フウセンカズラとか、ヒョウタンとか。それを子どもたちが採って、中の実を出したり、飾りを作ったりしています。工作にしても、お絵描きにしても、自然の温かさのようなものを子どもたちと感じながら行っています。たとえ既成の遊具であっても、使っていくうちに壊れるということを体験し、その中で「直して使える」ということを一緒に学んでいます。

工作で作った人形。

畑もあって、実際に園児と野菜を作っています。たくさん収穫することが目的ではなく、育つ過程を一緒に見て考えることを大切にしています。結果、それが園児にとっての学びとなっているのです。食べられることが当たり前ではないことを自然の中で感じる。その中で、「神様が必要な時に雨を降らせてくれるんだね」という園児たちの気づきがあります。

──土地柄、いわゆる「お受験」をする園児も多いのでは?

年長組になると、半分くらいの子は「お受験」をしていますね。当園では、受験をいいとも悪いとも言いませんが、字を教えたり、みんなが鉄棒をできるようにしたりすることはしません。保護者もそれを理解した上で通わせてくださっています。きっと保護者は、幼稚園は競争するところではなく、心の働きを豊かにするところだと分かって送り出してくださっているのではないかなと思っています。

──入園者はクリスチャンが多いのですか。

現在73人の園児がいますが、そのうち保護者がクリスチャンなのは1人か2人だと思います。この幼稚園に入ってキリスト教に触れたというご家庭がほとんどです。それでも、月1回の日曜日が保育日なので、保護者の方に礼拝に参加していただいています。出席していたのは最初3、4人くらいだったのですが、今では常時15、6人くらいは来られています。保育日だからというよりも、礼拝で賛美歌を歌いたい、メッセージを聞きたいと思って来るご家庭が多いように感じます。また、日曜日なのでお父さまも幼稚園に来ることができ、中には「教会の礼拝が好きです」と言ってくれるお父さまもいます。これが当園の伝統になっていけばと思っているところです。(つづく)

 






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