コロナ禍の葬儀から見る未来 (前編)

毎日のニュースも私達の日常生活もすっかりコロナに侵されてしまっている。

しかしワクチンの接種が進み感染者数が減少する中で、「ウィズコロナ」や「アフターコロナ」といったワードが次第に現実味を帯びて語られるようになってきた。コロナが猛威を振るうこの時代を生きる私たちは、いったいどのような「新しい生活様式」を生み出していくのだろうか。

本記事では特に「葬儀」という切り口から、私達の社会が向かう先を見つめてみたいと思う。

まだ宗教が存在しなかった旧石器時代にも、葬儀はすでに存在していたという。人はそれほど古くから、それぞれのコミュニティのなかで故人の生きた人生とその終わりを言い表し、表現してきた。葬儀の変化から見えてくる、時代の移り変わり事情もあるのではないだろうか。

誰が「コロナで」亡くなったのか

新型コロナウイルスが流行した初期段階では、このウイルスが感染する経路に未知の部分が多くあったため、遺族が亡骸と面会することも許されず、亡くなってからそのまま火葬となることが問題として取り沙汰された。そのような対応が必要でないことが分かった今は、コロナで亡くなった場合でも面会や葬儀を行うことができる。(ただし故人の遺体には感染防止の処置が必要となる)

一方で、新型コロナウイルスに罹患した状態で亡くなった故人について死因が明確にされないケースも少なくないようだ。

「(コロナにかかって亡くなった方の)死亡診断書の死因欄に【老衰】と書かれているのを目にすることがありますが、老衰というのはそもそも死亡の原因としては不適切な表現です。」とある葬儀社の担当者は語る。そのような対応を取らざるを得ない背景には、厳しい現実に向かい合う現場の医師たちが一種の板挟みになっていることもあるのではないか、という。

「たとえば老人ホームで、コロナウイルスで亡くなった方が出れば、その施設はしばらく利用できないことになります。しかしそういった介護施設を利用する方には、自宅で過ごすことが難しい方も多くいらっしゃいます。中には身寄りと言えるような関係性が失われているケースもあります。病院のベッドも足りていない中で、どのような対応が最善と言えるのか、現場の医師たちは難しい判断を迫られているのではないでしょうか。」

コロナで故人を亡くした遺族も、情報をオープンにできないケースがある。キリスト教葬儀CSC社の熊川新悟代表は語る。

「私たちはこれまで新型コロナウイルスが死因で亡くなったという方の葬儀依頼を受けたことはありません。しかしだからといって、実際に私たちが関わった葬儀の故人が新型コロナウイルスにかかっていなかったとは断言できない部分があります。『コロナにかかって亡くなった』ということには今も偏見や差別が付きまとっており、実際にお連れ合いをコロナで亡くされた方から『偏見が怖くて自分の教会の人たちにすらその事を話していない』という声を伺ったこともあります。」

コロナ禍と統計

前項で記した通り、コロナによってどれだけの方が亡くなったのかについては不明瞭な部分がある。しかし、だからといって統計的な情報を軽視するわけにはいかない。

昨年の死者数はどのように推移したのだろうか。

今年4月1日に発表された数字によると日本の人口は12年連続で減少している。(総務省発表

2020年の出生者数から死亡者数を引いた「自然増減数」は、マイナス53万608人だが、死亡者数自体は前年と比べて4977人減少していることから、人口が減少しているのは少子高齢化の影響が大きいことが分かる。少なくとも、コロナ禍のせいで死者が増えている、とか人口が減っている、というのは間違いだと言えるだろう。

ただコロナ禍の影響については新型コロナウイルスを直接的な死因とする死亡者数だけで判断するのは適切ではないとされる。なぜなら直接的に「コロナで亡くなった」死亡者数以外にも、コロナ患者の急増で医療状況がひっ迫したことの影響を受けたり、合併症の罹患で亡くなったりした人数などを鑑みたうえで、そのインパクトについて考察する必要があるからだ。そのインパクトは「超過死亡」と呼ばれる指標によって評価され、コロナ禍の影響を測る基準として世界で広く用いられている。

国立感染症研究所による超過死亡の説明

国立感染研究所の発表によると、超過死亡の指標をみるとコロナ禍によって死亡者数が増えたとは言えないようだ。感染症対策が徹底されたによって人々の健康を取り巻く環境はむしろ改善されたという指摘もある。

ただし、自殺者が増加傾向にあることはコロナ禍の影響が出ている可能性が高く、特に女性や若者の自殺者数が上昇したことがその影響の特徴として挙げられている。(参考:日本経済新聞

上記を考えるとコロナ禍による影響は人々の健康に対する損害よりも、むしろ私達の精神や社会の仕組みに与えた部分が大きいと言えるのではないだろうか。


後半に続く

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