ウィリアム・フォークナーは、その小説の舞台として「ミシシッピ州のヨクナパターファ郡」を創り出した。フォークナーは、その場所を、現代の生活の中に見える精神的・道徳的状況を示す舞台として活用した。そこに住む男女の様子をよく見ると、色々なことを考える契機となる。わたしたちが人生の中で出会う喜劇や悲劇(あるいは、出会うことがない喜劇と悲劇)の両方を理解するために、この架空の土地で起こる出来事は、刺激的な想像力を掻き立ててくれる。一人、モントゴメリー・ワードという名前の子どもが登場する。【1957年の小説「町」の中で、長じて「モントゴメリー・ワード・スノーペス」の主要登場人物の一人となる子どもである】このキャラクターに付された名前は「大成功した消費者」として大成すべく育てられて行く子どもの名前として、完璧なものである。ショッピングモールで余暇を使い、何かを手に入れることで男らしさを証明させる、そのような子どもを育ててみたいと思うなら、その子にはモントゴメリー・ワードと名付けるとよいと思う。実にモントゴメリー・ワード・スノーペスは、ある種の守護聖人である。「買い物」という儀式をもって「新しい礼拝」とし、「デパート」をもって「新しい大聖堂」とし「広告」をもって「無謬の聖書」とする、そんな人を守護する聖人こそがモントゴメリー・ワード・スノーペスなのである。
イエスは言われた「胃へと押し込む食べ物よりも、はるかに多くのものが、あなたの人生にはある。身にまとう服よりも、はるかに多くのものが、あなたの体にはある。鳥たちを見なさい。自由で、とらわれない。職務規定に縛り付けれられていない。神の御手に包まれて、解き放たれている。神はあなたを、鳥よりもはるかに大切な存在と思っている。
―― マタイによる福音書6章25b~26節