第7回日本伝道会議@岐阜レポート 〝福音派〟牧師・信徒ら約1200人集う 「おわり」から「はじめる」覚悟

 第7回日本伝道会議(JCE7、同実行委員会主催)が9月19日から4日間の日程で、岐阜県岐阜市の長良川国際会議場を会場に開催され、全国から約1200人の牧師、信徒、神学生、宣教師らが集った。同会議は、聖書を「信仰と生活の唯一の規範となる神のことば」と信じる「福音的な教会」が、互いに力を合わせて宣教命令に従っていくことを目的として、1974年から数年おき(第5回以降は7年ごと)に開催されてきたもの。第3回までは日本福音同盟(JEA)の主催で行われたが、第4回以降はより広い国内外の宣教協力の実現を願い、JEAの枠を超えた実行委員会によって運営されている。

 日本キリスト教協議会(NCC)を中心とする、いわゆる「主流派」にとっては縁遠い会議だが、初日には日本基督教団から学生・青年センター「学生キリスト教友愛会(SCF)」総主事の野田沢(のだ・たく)氏が応答者として招かれ、登壇するなど、既存の枠組みを突破しようとする覚悟と気運が感じられた。

幅広い宣教協力と「次世代育成」へ
ジェンダーバランスでは課題も

 今回のテーマに掲げられたのは「『おわり』から『はじめる』宣教協力」。実行委員会によると、この「おわり」には「今の教会が直面している行き詰まりに等しき状況、つまり今やらなければ後がない状況としての『正念場』」「神が計画しておられる教会の完成のビジョンとしての『ゴール』から考える」「開催地域である『尾張(おわり)』、各自の地域の現状から出発する」という三つの意味合いがある。

 また「はじめる」には、「日本の宣教の歴史を振り返り、日本の教会に根付いている教会の習慣や文化などを聖書から見直し、捨てるべきものを捨て、終わらせるものを終わらせることを『はじめる』機会」にするとともに、「複雑になりつつある社会の変化に目を向けて、災害、環境破壊、少子高齢化、デジタル化、国際政情不安、多文化共生などの課題に教会がしっかりと向き合い、宣教の働きを新たに『はじめる』」「コロナ禍を神の摂理的な機会と受け止め、日本宣教の転換点となる新たな取り組みを『はじめる』時とする」との意味が込められているという。

 前回、神戸で開催された第6回日本伝道会議でプログラム局長を務めた小平牧生氏(基督兄弟団ニューコミュニティ西宮チャペル牧師)が実行委員長となったが、初日から最終日まで表舞台であいさつに立つことはなかった。他にも、これまでは慣例であった来賓あいさつも割愛。互いの呼称は「先生」ではなく、「さん」を使うよう呼びかけられた。

 メインセッションの講師は山本陽一郎(日本同盟基督教団多治見中央キリスト教会牧師)、塚本良樹(キリスト者学生会副総主事)、老松望(大阪聖書学院教師、堺大浜キリスト教会スタッフ)小山健(単立岐阜純福音教会牧師)の各氏が務め、いずれも50代以下からの起用であることから、積極的な世代交代への意欲を印象づけた。

 終了後、小平氏は自身のFacebookで「教会の一体性を表す、宣教戦略を共有する、互いの交わりを育むという3点をめざして準備してきました……が、一定の目標を達成できたのではないか」と評価した。

 期間中は多種多様な分科会(AGT=アクション・グループ・タイム)に加え、14のプロジェクトが企画され、「ITを活用した日本宣教のこれから」「2030年に向けた青年宣教」「新しい宣教協力の枠組みへの提案」「Z世代を巻き込む環境づくり」「神学生交流促進プロジェクト」など、とりわけ「次世代育成」を意識したテーマが目立った。また、講師の話を一方的に聞くのではなく、各会ごとにスモールグループで感想を共有する時間が設けられるなどの工夫も見られた。

分科会では「次世代育成」を意識したテーマが目立った

 今年で5周年を迎える日本キリスト者オピニオンサイト「SALTY」は「日本宣教へのパラダイムシフトを考える」と題する分科会を主催し、同代表の木下春樹氏(単立網干キリスト教会牧師)、主筆の西岡力氏(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長、麗澤大学客員教授)らを講師に「日本の歴史や精神風土を考慮しない宣教の姿勢は、再考すべき時がきているのではないか?」との論陣を張った。

 前例にとらわれない試みを評価する一方、主な登壇者が男性中心であったこと、性的少数者や「宗教2世」問題への言及が最小限であったこと、福音理解の再吟味や聖書論の見直しといった話題が取り上げられず、前回のような「聖書信仰」についての活発な議論が見られなかったこと、時間的・経済的に参加者層が限られていること、託児所が「母子室」と名付けられていることなど、今後への課題を指摘する声も聞かれた。

 月刊『舟の右側』(地引網出版)編集長の谷口和一郎氏は、「分科会の選定について、また神学的なトピックが話し合われなかったことなど、疑問点もいくつかある」としながら、「このコロナ後の新しい時代の第一歩として、神がこのような伝道会議を導かれたようにも感じている」と振り返った。

 第5回までのJCEでは各回の「宣言」をまとめ、JCE6では個別のプロジェクトが「次の伝道会議へのロードマップ」を表明する形式をとったが、今回は宣言文作成委員会が一次案を公表し、各地域大会での意見を取り入れながら多くの教会で共有できる「祈り」という形で会議の到達点と、今後の方向性を示した。

参加者が一堂に会しての昼食

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