歴史書の信仰的意味を深く読み解く
〈評者〉藤井清邦
旧約聖書入門4
現代に語りかける歴史書
大野惠正著
小B6判・400頁・定価2090円・新教出版社
時折「旧約を読むと難解に感じ、どのように読めばよいか」と質問を頂くことがあります。旧約が難解に思えるのは、単に旧約に触れる機会が少ないことや、新約に比べて親しみが薄いという理由によるのではないでしょう。そこに記された御言葉を、どのように読み受けとめればよいか分からず、その理解に悩むからではないでしょうか。ですから、良い信仰の手引きを得ることによって、旧約に向き合う私たちは大きな助けを与えられます。
二〇二二年十一月、大野恵正先生が著された『旧約聖書入門4 現代に語りかける歴史書』が発刊されました。この旧約入門は、二〇一三年に第一冊目が発行されて以来シリーズで出版されているもので、いずれも優れた信仰の導きとなる書物です。
今回発行された第四冊目『現代に語りかける歴史書』は、ヨシュア記、士師記、サムエル記上・下、列王記上・下、歴代誌上・下、エズラ喜、ネヘミヤ記、ルツ紀、エステル記を扱ったものです。いずれも教会の礼拝で取り上げられることは少ない書物ですが、これら一つ一つの書物の概要を的確に示すと同時に、各書物の主要なテーマや出来事に焦点をあて、分かりやすく解説されています。