11月26日 ヘブライ人への手紙11章8節

 

信仰によって、アブラハムは、自分が財産として受け継ぐことになる土地に出て行くように召し出されると、これに服従し、行く先も知らずに出発したのです。
ヘブライ人への手紙11章8節(参照箇所同書11:1〜40)

 

旧約の歴史に登場する、アブラハムの信仰は、新約に受け継がれ、キリストを信じることによってのみ救われるとする福音的信仰の土台となりました。手紙の著者は、再びアブラハムの信仰を思い起こし、アブラハムがなぜ福音的信仰の父となったかを明らかにしようとしているのです。

彼は、「行く先も知らずに出発したのです」とあるように、信仰は決断です。彼は無鉄砲のように見えますが、そうではありません。もし無鉄砲に出かけたのなら、信仰の世界では鰯の頭も信心からの類いになるでしょう。もし行く先のことを懸念して、あれこれ調査をし、これで安心だとやおら旅立つなら、信仰というより自己の信念に基づく行動になるでしょう。

彼をして、行く先を知らずして旅立たせたものは、受け継ぐべき土地を与えるとの約束です。この約束は、「〜だから」与えられる約束ではありません。「〜にもかかわらず」与えるとの約束です。この上からの声に従う決断が約束の地へ導くのです。

わたしたちの信仰は、この決断を受け継いで、福音的といわれるのです。

賀来 周一

賀来 周一

1931年、福岡県生まれ。鹿児島大学、立教大学大学院、日本ルーテル神学校、米国トリニティー・ルーテル神学校卒業。日本福音ルーテル教会牧師として、京都賀茂川、東京、札幌、武蔵野教会を牧会。その後、ルーテル学院大学教授を経て、現在、キリスト教カウンセリングセンター理事長。

この記事もおすすめ