エキュメニカルプロジェクト(えきゅぷろ)実行委員会主催の事例報告会「教会どうでしょう」第1回が10月24日、オンラインで行われ、教派を超えて全国の青年ら約20人が参加した。初回は「オンライン礼拝の可能性」をテーマに、カトリック関口教会(東京カテドラル聖マリア大聖堂)でのミサ配信についてカトリック東京大司教区大司教の菊地功氏、配信担当者の田村慎一氏、オンラインを用いた「ユース礼拝」について日本福音ルーテル市ヶ谷教会の青年がそれぞれ報告した。
菊地氏は3月1日から10月末までYouTubeで配信したミサのカトリック教会における位置付けについて「あくまでミサのオンライン配信であって『オンラインミサ』ではない」と語り、ミサの代わりにはならないが「霊的聖体拝領」の概念に基づく霊的な補助、教会共同体を認識する手段としての役割は十分にあると強調した。また、苦労した点として字幕作成のために説教原稿を2、3週間前に用意しなければならず、ミサ当日の社会情勢と内容がずれても修正できなかったこと、世界中に同時中継されることで視聴者の批判に耐え得る配信をしなければならなかったことなどを挙げた。模索しながら配信を始めた当初の苦労について語った田村氏は、ミサ配信をミサにあずかれない信徒たちの祈りをサポートする「現代のロザリオ」と表現し、「質の高い道具を届けたい」と心がけてきた姿勢や具体的な工夫を紹介した。
日本福音ルーテル市ヶ谷教会では毎年1回、牧師の司式による通常の礼拝とは異なり、青年(ユース)が主体となって礼拝の組み立てから当日の司式、奏楽に至るまで手作りの奉仕で行う「ユース礼拝」を実施してきた。今年はコロナ禍における感染対策に配慮し、オンラインとオフラインを併用しつつ、遠隔地からも聖書朗読の奉仕者として参加するなどの試みが行われた。報告では、「オンライン礼拝も礼拝形態の一つという認識だが、対面礼拝とまったくイコールではない」「オンラインでの聖書朗読は、音ズレによるタイミング、視線のやり場、会衆の反応が見えないなどの難しさがある」としながらも、新しい礼拝のあり方を前向きに捉える声が複数聞かれた。
実行委員会では2022年の「えきゅぷろ2022」開催に向け、今後も教派を超えたケーススタディを重ねていく予定。第2回目の「教会どうでしょう」は11月22日(日)午後5時から7時まで、「コロナ禍のメガチャーチ・スモールチャーチ」をテーマに、英隆一朗氏(カトリック聖イグナチオ教会主任司祭)、門田純氏(日本ナザレン教団長崎教会牧師)を招き、同じくZoomを介して行われる。参加申し込みは専用フォーム(https://bit.ly/3kJY9gk)から。