最も歴史のあるプロテスタント教会は今、危機に瀕(ひん)している。米国世論調査機関ピュー研究所(ワシントンD.C.を拠点にした、米国や世界の人々の問題意識や傾向を調査するシンクタンク)の2015年の調査によると、かつてキリスト教会の中心だったこれらの教団は、いま米国において、1年間に100万人ほど信徒が減少し、毎年、数十の教会が閉鎖されている。
この傾向に歯止めをかけるため、そして再び教会に人々を引き寄せるために、教会リーダーや牧師による取り組みが行われている。
約20年前、聖公会のジョン・シェルビー・スポング主教(87)が『なぜキリスト教は変わらなければ死ぬのか』(1999年)という本を出版した(訳注:日本でも著書『信じない人のためのイエス入門──宗教を超えて』が新教出版社から2015年に刊行されている)。
スポングは自由主義神学者として、「聖書の逐語的解釈をやめ、離婚や中絶、同性愛を容認するなどの社会の変化に適応していけば教会は成長する」と教えていた。
「ワシントン・ポスト」によると、スポングの提唱した神学は、メソジスト、ルーテル、米国長老教会、そして聖公会といった伝統的な教会では依然として主流であるとしている。
しかし、この本が出版されてから20年後、自由主義的精神が衰退傾向への解決策になっていないだけではなく、分裂や衰退をももたらしていることを如実に表す結果となった。
カナダのプロテスタント最大の教派、カナダ合同教会(United Church of Canada)が最近行った調査によると、20%の牧師が聖書の神を信じておらず、29%が神は信じているが「超自然的」ではないと考えており、15.6%が神を比喩的な存在とし、およそ2%が神には力があると考えていることが分かった。
長老派では、米国長老教会(Presbyterian Church (USA))のリベラルな方針に飽きた約300に及ぶ教会が福音長老カベナント教会(A Covenant Order of Evangelical Presbyterians)を結成した。
一方、ペンテコステ派など、聖書を神の言葉と信じる教会は増加傾向を示している。
今回のピュー研究所による調査のディレクター、デービッド・ハスケルは次のように説明する。「成長している教会は、伝統的なキリスト教信仰を保持し、聖書通読や祈りを励行していることを指し示していることが、この調査結果から分かる。こうした首尾一貫した信仰姿勢が、結果的にクリスチャンでない人々を引きつけている。また、普遍的真理として位置づけられる中心的教理は、訪れる人々に信頼感を与えている。前向きで活力のある有益なメッセージと結びつくこの信頼感も、実に魅力的なものとなっている」
教会成長と福音派牧師の実践には相関関係があり、日常的に聖書を読み、福音はきわめて重要なものと考える教会は力強い成長を維持していることが、この調査結果を通して分かるという。
成長している教会の牧師の71%は日常的に聖書を読むものの、教会員が減っている教会の牧師では19%に留まる。成長している教会の主任牧師は100%、クリスチャンでない人に神を信じるよう勧めることは非常に重要と考えているが、衰退傾向にある教会ではそれが50%に留まる。
賛美歌を歌うスタイルがいかに成長に結びついているかも、調査結果から浮き彫りになった。さまざまな楽器とワーシップ・ソングによる現代的な礼拝スタイルを取り入れている教派では、オルガンと聖歌隊という伝統的なスタイルの教派よりも成長している割合が高い。
この調査結果は、「教会の成長は神学とあまり関係がない」という近年公表された同様の調査とは対照的な結果となった。
本記事は、ブラジルのキリスト教メディア「ゴスペル・プライム」に掲載された記事より翻訳し、編集しました。