日本福音同盟(JEA)社会委員会(児玉智継委員長)は12月30日、「イスラエル‐ ハマスの紛争に対するJEA社会委員会声明」を発表した。
声明は、「暴力で社会を動かそうとしたハマス側も、暴力でパレスチナを抑え込んできたイスラエル政府側も、その不正義の歴史を認めて悔い改め、歩み寄ることがなければ平和が訪れることはない」と述べるとともに、「イスラエル・パレスチナ問題は、欧米をはじめとした各国の自国中心的かつ欺瞞的な外交政策がもたらした結果」だとして、国際社会は和解と平和のための努力を惜しんではならないと強調。イスラエルとハマスの双方に対して、すべての人質を解放し、すべての戦闘行為を即時停止することを求めた。
声明の全文は以下の通り。
イスラエル‐ハマスの紛争に対するJEA社会委員会声明
ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。(イザヤ9章6節)
今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。(ルカの福音書2章11節)
主イエス・キリストは、「平和の君」として、ユダヤのベツレヘムにお生まれになりました。しかし今、そのイスラエル・パレスチナで多くの血が流され、命が奪われていることに深い悲しみを覚えながら、クリスマスの季節を過ごしています。
2023年10月7日、パレスチナ自治区を実行支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに向けて数千発のロケット弾を発射しました。また、ハマスの戦闘員がイスラエルに侵入して襲撃をし、多くの若者たちを捕虜としました。これに対して、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態にある」としてガザ地区に激しい空爆を行いました。
今回のハマス側の奇襲攻撃は、日常的な封鎖と攻撃に対する我慢の限界であり、イスラエルとサウジアラビアの歴史的な和平合意に対する反発である、と言われています。それでも、ハマスの残虐な行為を決して容認することはできません。また、ハマスが多数の人質を奪ったことも許されることではありません。
同時に、イスラエル側の反撃も「自衛」の範疇を著しく逸脱するものです。日常的に住民の自由と人間の尊厳を奪う占領は、武器を使う暴力とはかたちも質も違いますが、暴力だと言えます。また、病院などの空爆は国際人道法違反であり、蛮行と言わざるを得ません。
暴力で社会を動かそうとしたハマス側も、暴力でパレスチナを抑え込んできたイスラエル政府側も、その不正義の歴史を認めて悔い改め、歩み寄ることがなければ平和が訪れることはないでしょう。
しかし、イスラエル・パレスチナ問題は、欧米をはじめとした各国の自国中心的かつ欺瞞的な外交政策がもたらした結果です。私たちもその国際社会の一員であり、この問題を放置してきたことを認め、その解決のために祈る者でありたいと思います。国際社会は、イスラエル・パレスチナ問題に大きな責任を負っていることを自覚しつつ、和解と平和のための努力を惜しんではなりません。
私たちは、イスラエルとハマスの双方に対して、すべての人々の命を守るため、すべての人質を解放し、すべての戦闘行為を即時停止することを強く望みます。
また私たちは、「平和の君」である主イエス・キリストの「剣をさやに収めなさい」(ヨハネ18:1)、「やめなさい。そこまでにしなさい」(ルカ22:51)の教えに従い、イスラエル・パレスチナの平和のために祈り続けていきます。
2023年12月30日
日本福音同盟(JEA)社会委員会
委員長 児玉智継