書店大賞『LGBTとキリスト教』 平良愛香氏が授賞式で複雑な心境吐露

全国のキリスト教書店員が選ぶ「キリスト教書店大賞」(キリスト教出版販売協会主催)で、今年の大賞に『LGBTとキリスト教――20人のストーリー』(日本キリスト教団出版局)が選ばれ、10月2日にオンラインで開催されたクリスマス見本市(日本キリスト教書販売株式会社主催)内で授賞式が行われた。

式には、同書の監修を務めた平良愛香氏(日本基督教団川和教会牧師、農村伝道神学校校長)=写真=が招かれた。平良氏は「LGBTの存在を知って、関心を寄せてもらえる機会として多くの人に読まれたことはうれしいが、どれだけ書いても届かない部分が残ると痛感した」と複雑な心境を明かした。性的マイノリティは「LGBT」でくくれないほど多様で、それぞれ異なる重荷を背負っていること、「分かった気になってしまう危険性」もはらんでいることを指摘。同書を肯定的に読む読書会に参加した当事者が、「ここではカミングアウトできない」と感じたという事例も紹介した。

「語れないことの方が圧倒的に多いという事実も考えてほしい。教会に失望して離れていった当事者が多くいる。さまざまなマイノリティについて学ぶ時、自らがマジョリティであることを自覚し、相手の足を踏み続けているのかもしれないことに気づかなければならない」と呼び掛けた。

同賞は、キリスト教出版販売協会に加盟する全国のキリスト教専門書店が、過去1年間に刊行された本から「売りたい・お勧めの本」を投票形式で選ぶ賞で、2011年から始まり今年で13回目。

キリスト教書店大賞2023 大賞は『LGBTとキリスト教』 2023年8月11日

関連記事

この記事もおすすめ