Q.教会でバザーをするのはふさわしいことでしょうか? 神殿から追い出された商人を連想してしまうのですが……。(70代・男性)
確かに神殿で献げる犠牲の動物を売っていた商人たちをキリストは、鞭で追い払いました。「私の父の家を商売の家としてはならない」(ヨハネによる福音書2章16節)と叫ぶ声は、現在のわたしたちの心にも迫ってきます。
では、バザーのような方法で教会が収益を上げることは間違いなのか。これは微妙な問いといえるでしょう。販売されるものはすべて献品、販売員も無料奉仕が原則だからです。
家の片隅に眠り古びていくものが安い値段で、必要とされる人の手に渡り再び活用される。リサイクルという観点からも、バザーは意味のあることもかもしれません。1年間、手作り品などを作り、バザーのために周到に準備する教会員もいます。教会に新しい方を迎えるチャンスになることを考え、良いものを地域の人々に買ってもらいたいからです。
筆者の牧会している教会では、企画実行する際の「しんどさ」を理由にバザーは行っていません。その他の方法で新来会者を迎えていることも一因でしょう。
そもそも教会が収益事業(土地や家屋の賃貸、物品の売買など)を行うことが、聖書の教えにかなうことなのか。一般論として結論を出すことは困難です。それでもバザーに関しては、礼拝者として誠実に生きている人々が責任を担うならば、許されるのではないでしょうか。外的奉仕に重きを置くあまり、み言葉を聞き損なったマルタにならなければ(ルカによる福音書10章38~42節)、バザーのような活動も神はよろこび受け入れてくださるに違いありません。結局は、奉仕の心が要になるでしょう。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
やまなか・まさお 精神科医、日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師。 1951 年高知県生まれ。高知高専、広島大学医学部、日本アライアンス神学校卒。日本アライアンス教団関東教区長。マザーズ・カウンセリング・セン ター(MCC)運営委員長。著書に『こころの診療室』(日本キリスト教団出版局)、『うつ病とそのケア』(キリスト新聞社)など。