夫婦喧嘩はやめて… 山中正雄 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

キリスト新聞社ホームページ

Q.両親共に信徒なのですが、仲が悪くけんかが絶えません。教会では「円満な家庭」を演じているので、誰も信じてくれません。このままでは教会不信に陥ってしまいます。(10代・女性)

「君たちにとって一番いやなことって何なの?」「お父さんとお母さんがケンカすること」。これは、ある託児所で、交わされた保育者と子どもたちとの会話です。

ご両親が教会に通い、「円満な家庭」を演じていれば、なおさら子どもの苦悩が深刻になり、教会不信が生じるのは当然かもしれません。教会における態度と家庭における振る舞いのギャップが大きく、裏切られたと感じ、失望するからです。

ところが、ご両親は子どもの心にそれほど深い傷を負わせてはいない、それぞれの立場を強く主張し、議論をしているだけだ、と考えているのかもしれません。悲しいことですが、こうした誤解は予想以上に広く認められ、牧師家庭でさえも例外ではないようです。何を隠そう、筆者自身も同じ過ちを犯してきた父親の一人でした。

夕食後、教会の問題について筆者は妻と激しい議論を交わした事があります。その様子をそばで見ていた上の娘(当時、小学2年生の里子)が大声で叫びました。「私の前ではケンカをやめて! するなら別の所でやって!」その激しさに驚き、痛く反省することになりました。その後は『夫婦げんかは子どものいないところで』をモットーにして、穏やかに話し合っています。

「開拓伝道成功の秘訣は夫婦仲良くすること」と先輩の牧師が教えてくれました。健全な家庭を築く秘訣も、同じではないでしょうか。子どもの苦しみを分かってもらえるよう、大声で叫ぶのもよいかもしれませんね。「もう夫婦げんかはやめて!」と。ご両親の心に神さまの働きかけがありますように。

やまなか・まさお 精神科医、日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師。 1951 年高知県生まれ。高知高専、広島大学医学部、日本アライアンス神学校卒。日本アライアンス教団関東教区長。マザーズ・カウンセリング・セン ター(MCC)運営委員長。著書に『こころの診療室』(日本キリスト教団出版局)、『うつ病とそのケア』(キリスト新聞社)など。

関連記事

この記事もおすすめ