米大統領選 福音派指導者らトランプ氏再選を祝福 「神によって定められた勝利」

これまで大統領選を「善と悪の霊的な闘い」と繰り返してきたアメリカの福音派指導者たちが、ドラルド・トランプ前大統領の再選を「神の意思の成就」として祝福している。「NBCニュース」が報じた。

保守的なキリスト教徒が大衆への影響力や、ある程度の社会的地位を占めるよう呼びかけてきたランス・ウォールナウ牧師。選挙前夜に映像を通じて「トランプ氏の勝利は何年も前に預言されていたことであり、キリストによる支配の新時代をもたらす神の計画の重要な一歩だ」と語っていた。

トランプ氏に対する福音派の白人支持は、2016年初頭の共和党候補指名選挙の時から根強く、彼が当選すれば「キリスト教は力を持つだろう」という声が挙がっていた。

トランプ氏自身も今回の選挙キャンペーンにおいて、キリスト教徒には「これまでにないほどの権威を与える」と約束。学校や社会におけるトランスジェンダーの受け入れに関する規制の強化や、アメリカ国内で発生しているキリスト教徒へのあらゆる差別や迫害を徹底的に調査する特別チームも創設すると公言していた。

3度の結婚を経験し、性暴力の責任も問われているトランプ氏だが、ウォルナウ氏をはじめとする福音派では「民主党の悪魔的な影響からアメリカを救うために神から油注がれ、欠けた部分も用いられる指導者」として評価されている。また、今年7月の暗殺未遂事件も同氏の支持を集める契機になったと考えられる。

NBCニュースの出口調査によると、白人層の福音派では約80%がトランプ氏を支持。世論調査ではラテン系の福音派では67%、黒人層の福音派では14%がトランプ氏を支持したと推測されている。

メリーランド州にある非営利団体イスラーム・キリスト教・ユダヤ教研究所の上級研究員であるマシュー・テイラー氏は、トランプ氏をホワイトハウスへ押し戻した一連の出来事について「彼を、神に選ばれた器として描こうと奮闘していたキリスト教指導者たちにとっては『夢のシナリオ』だった」と語る。

2021年1月6日の連邦議会襲撃事件以来、トランプ支持を表明するキリスト教徒の言動について幅広く研究してきたテイラー氏は、トランプ氏の存在を「神の定め」とみなすことで、大統領として極端な行動をとる許可を与えたと考察している。

「彼は今、民主的な命令だけでなく、神の命令を主張する力も持っている」と同氏。その物語を受け入れ、トランプ氏のいかなる言動についても、神学的及び道徳的に擁護する空気感が支配することを指摘している。

作家で牧師のダッチ・シーツ氏は今年4月、キリスト教テレビ番組「フラッシュ・ポイント」の中で、トランプ氏の勝利は「第三の大覚醒」をもたらすと述べ、「世界中で起こる熱烈な信仰復興(リバイバル)の先駆けになる」と視聴者にアピールしていた。

事実、トランプ氏は就任1期目にシーツ氏を含むキリスト教指導者たちをホワイトハウスに迎えるなど、その関係性の深さを露わにしてきた。「ホワイトハウスからキリスト教ナショナリズムとキリスト教至上主義が露骨に主張されるようになるだろう」とタイラー氏。すでにトランプ氏は、他のキリスト教指導者や保守的なキリスト教信仰の立場にある議員たちとも密接な関係にあると指摘した。

(翻訳協力=福島慎太郎)

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