1メートルが1メートルであるって、実はすごいこと!!【聖書からよもやま話235】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
今日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書 エゼキエル書の45章です。それではよろしくどうぞ。

◆エゼキエル書 45章10節

正しい天秤、正しいエパ升、正しいバテ升を使え。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

神様はイスラエルの君主たちに、正しい単位を使って、人々から税を取るべきだと命じています。こんなことが命じられているということは、恐らく君主たちは単位をごまかしたりして、必要以上の重税を民に課していたのだと思われます。

米や穀物を測る升を操作するというのは、洋の東西を問わず昔から国の指導者たちが財政難に陥ると使う常套手段の一つです。三国志に登場する曹操は、兵に配る食料が不足した時に、食料配給に使う升を小さくして配給量を減らしました。イスラエルの君主たちは反対に、課税する時に使う升を大きくしたりしたのかもしれません。

今の世界ではだいたい世界中どこに行っても、1メートルは1メートルですし、1グラムも1グラムです。これは当たり前のようで、実はすごいことです。だってこれが世界中で統一されているからこそ、設計図があれば世界中どこに行っても同じものが作れますし、貿易だってできるんです。今の経済も生活も、この「単位の統一」によって成立しているんです。これが崩れてしまったら、世界は大混乱に陥ります。

現代ではたとえば長さの単位である「メートル」は非常に厳密に定義されています。すなわち「1秒の299792458分の1の間に光が真空中を伝わる工程の長さ」です。昔は「パリを通過する子午線の北極から赤道までの長さの1000分の1」だったのですが、この定義だと色々な条件によって微妙にズレたりしてしまうので、絶対に変化しない光速を基準とした定義に変わったのだそうです。

この「メートル」を元にして、体積の単位である「リットル」や、重さの単位である「グラム」も導き出されます。計量カップも大さじも小さじもみんな、この「メートル」の厳密な定義から計算して作られています。ですから現代の世界ではもはや「升を変えて」収支をごまかすことはできなくなっているんです。
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とはいえ、現代では納税はほとんどお金によって行われます。長さや重さと違って、お金の価値というのはまったく厳密に定義できません。円だってドルだって毎日その価値が変動します。そして場合によってはその価値を政治家が操作することもあります。もちろん貨幣経済を今さら否定するわけではありませんが、神様が為政者に対して「正しい升を使え」と命じているのをみると、「果たして今の社会は正しい升を使えているのだろうか」なんてことを考えてしまいます。

今の人も昔の人も、生きるために必要な食料の量は変わりません。1升の小麦の価値は、人間の命を基準にすれば今も昔も変わらないはずです。しかし1升の小麦を入手するために必要なお金の量は変動します。今の世の中ではそれはどんどん高騰しています。なんだか不思議な話だな、と思ったりもするんです。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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